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専門医インタビュー

この股関節の痛み、本当の原因は何?専門医への受診で長年の痛みが解消するかもしれません。

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大阪府

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大阪大学医学部卒業。大阪大学附属病院、大阪府立病院、大阪大学整形外科講師、大阪厚生年金病院整形外科部長などを経て、平成20年に増原クリニックを開設。

この記事の目次

手術を受けるにあたって、適切なタイミングはありますか?

手術室の風景

股関節の変形が進み痛みもひどい場合は「痛みを我慢できないので手術を受けたいです」と患者さん自身がおっしゃることが多いので問題はないのですが、痛みがそこまで切実でなくまだ日常生活でもそれほど不便を感じていないケースでは、タイミングを見計らうのが少し難しい場合がありますね。手術には感染症や脱臼といった合併症のリスクも当然伴いますから、体調や糖尿病・関節リウマチといった余病、患者さんの家庭的・社会的背景なども総合的に考えて判断しなければなりません。ご本人が「手術は怖いので嫌です」とおっしゃっても、生活の中心が家の中になってしまい明らかに活動力が落ちてしまうと、筋力が加速度的に衰え術後のリハビリが困難になってしまいます。目安としては、身体の揺れが大きく杖など補助するものがないと歩けない状態になったときには、手術を勧めることにしています。手術の適切なタイミングを逃さないためには、家族の認識やサポートも大切です。気になる様子が見受けられるようになったら、注意深くまずは見守ってあげましょう。気づかずにその状態を放置していると、骨折などをきっかけに寝たきり状態になってしまうこともありえます。介護は家族にとっても大きな問題ですので、患者さん個人の問題ではなく家族として最良の方法を検討することが重要です。

人工股関節置換術の具体的な流れを教えてください。

人工股関節置換術の流れと術後のX線

まずは術前に一度来院してもらい、内科的な疾患がないか、全身状態のチェックを行います。そこで大きな異常が認められなければ、検査結果をみながら手術の概要を説明します。手術の2日前に入院してもらい、入院期間は29日間です。手術は多くの場合60分以内、長くても90分以内には終了します。一般的には400cc~500ccの出血があるため、事前に自己血を貯血しておく施設が多いようですが、当院では術前術後に適切なタイミングで止血剤を投与することで術中の出血を200cc前後に抑えており、貯血は行っていません。手術を受けられる人の平均年齢は50代後半です。人工股関節置換術の安全性や有効性に関する情報が一般的に広まったことで、比較的若い年齢でも手術を決心する人が増えているようです。その一方で、80歳を過ぎても積極的に手術を受けたいという、老後の生活に前向きで健康意識の高い人が増えているのも最近の傾向といえるでしょう。

日本人には股関節の両側が悪い人が多いと聞きます。

股関節の形に異常を持つ日本人の80%以上は、両側に症状が出るという調査結果があります。実際に患者さんの中にも、片方の股関節をかばって生活しているうちに両方の股関節が悪くなってしまったというケースをよく見かけます。両方の股関節が悪化している場合は、基本的に片側ずつ手術を行います。片方の股関節を手術し、術後2カ月~3カ月経って状態が安定した後にもう片側を手術します。最初の手術の際にリハビリの手順や生活の留意点といった指導を受けているため、もう片側の手術のときは精神的に安定しており、多くのことがよりスムーズに進みます。中には両側同時手術を行っている施設もありますが、術中・術後の出血は理論上2倍になるわけですから、患者さん皆に行うというわけにはいきません。特に高齢者の場合は、術後しばらくは身体的負担が大きいこともあり注意が必要です。


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