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専門医インタビュー

仕事が繁忙期を迎える前に 膝の痛みを解消して快適な日常を取り戻そう!

この記事の専門医

北海道

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金沢医科大学医学部卒業後、北海道大学病院に勤務。釧路労災病院整形外科部長などを経て、平成21年から現職に。社団法人日本整形外科学会認定整形外科専門医、社団法人日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医、財団法人日本体育協会公認スポーツドクター

この記事の目次

人工膝関節置換術について詳しく教えてください。

部分置換術後の画像
膝の内側と膝蓋骨(お皿)を置き換えています

人工膝関節置換術には、膝関節全体を人工関節に置き換える「全置換術」と傷んでいる部分だけを置き換える「部分置換術」があります。症状が末期の場合は全置換術の適応になりますが、内側または外側の軟骨が減っているが靭帯を温存できる場合や極度の内反変形を生じていない場合などでは、部分置換術を行っています。選択のポイントは「靭帯(前十字靭帯または後十字靭帯)が正常かどうか」です。靭帯が残っていると膝の曲がりや術後の安定感が良く回復も早いため、靭帯が残せる場合にはできる限り部分置換術を行っています。一方で、膝崩れの症状を自覚している場合や、自覚症状がなくてもMRIや内視鏡で診察した結果、靭帯がきちんと機能していないことが分かった場合には、全置換術を選択します。

全置換術で使用する
インプラントの一例

また、手術はできる限りMIS(エムアイエス)で行っています。MISは最小侵襲手術(低侵襲手術)のことで、患者さんの体にかかる侵襲(切開)や出血などの負担を極力小さくする方法です。皮膚や筋肉の切開を最小限にすることで、早期の社会復帰が可能になります。以前は太ももから膝まで20cm〜25cmくらい切開していましたが、現在は膝周辺を8cm〜10cm切開するだけで済むようになりました。出血も止血剤や止血器械を使って最低限に抑えており、多くても150cc〜200cc程度です。手術にかかる時間は全置換術で70分~80分くらい、部分置換術の場合は片側のみを置き換える場合で50分~60分、片側と膝蓋骨(お皿)の両方を置換しても90分くらいでしょうか。MISにこだわるのは、閑散期に通院や入院をする第一次産業の患者さんたちが次の繁忙期までにADL(日常生活動作)をある程度まで取り戻せるようにしてあげないといけないから、という意味もあります。早く復帰するためは、人体への侵襲は少なければ少ない方がいいのです。

手術は誰でも受けることができるのでしょうか?

手術室の風景

全身麻酔をかけられる人であれば、どんな患者さんでも手術は可能です。年齢制限も特にありません。この地域では、80歳以上の高齢でも仕事を続けたいと意欲のある人が多いので、内科の医師と連携をとって十分に検討した上で手術に臨んでいます。心臓疾患のある人でも、必要であれば心臓エコーをかけたりホルター心電図で24時間様子をみたりと事前チェックを徹底し、術中管理が可能な状態までケアをして臨みます。場合によっては、体外式のペースメーカーを使用しながら手術することもあります。循環器科と外科を併せ持つ病院が釧路エリアでは当院を含め2施設しかないため、心臓疾患を抱えた患者さんに施術するケースは少なくありません。また、膝の内反角度が200度以上(正常値は170度くらい)で両松葉杖をついて歩いていた患者さんもいましたが、手術で両脚が真っ直ぐになりました。体重がインプラントの耐久性を超えるほど重かったり極度の骨粗鬆症だったりなど、中には手術が難しいケースもありますが、多様な背景を抱える患者さんたちにとって〝最後の砦〟的な存在の病院でありたいと常に思っています。

手術時のリスクと退院までの流れについて教えてください。

手術のリスクとしては、感染症、人工関節の緩み、DVT(深部静脈血栓症)などが懸念されます。これらのリスクをモニタリングする意味でも、術後最低1日はICUで生活してもらっています。術後の合併症の有無を内科の医師とともに間近に観察できますし、夜間でも一般病棟より密にナースとコミュニケーションできるので、患者さんも安心していただけるようです。翌日には一般病棟に戻り、ベッド上でCPMという機械を使用して他動的な膝の曲げ伸ばし訓練を開始します。術後1週間までは無理に歩かせないようにしていますが、回復が早ければ3日で立ち上がれる人もいます。1週間~2週間で抜糸となり、リハビリの担当医から「安定して歩行できる」という診断がつけば退院です。退院の目安としては、杖なしでの歩行と階段昇降ができ、膝が135度以上曲がって自転車漕ぎができるようになることでしょうか。入院期間は片側置換術だと2週間、全置換術でも平均で3週間、遅くても4週間程度です。


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