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専門医インタビュー

整形外科医とリハビリの専門家が連携協力一人の患者さんを見守っていく

この記事の専門医

日向野 雅典 先生

東京都

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埼玉医科大学卒業、医学博士、日本整形外科学会専門医、義肢装具等適合判定医、日本整形外科学会スポーツ認定医、運動器リハビリテーション専門医

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この記事の目次

自己血800CC の貯血

手術室

自分の足で歩きたい、旅行にも行きたいという強い目標がある人は、もともと元気で健康な方なので、90 代の高齢者でも人工膝関節置換術を行うことがあります。循環器科や麻酔科と協力して十分な検査をしたうえで、手術の準備に入ります。患者さんの状態を詳しく調べてから、部分置換術か全置換術か、手術の方針が決まったら、患者さんには手術のメリットやデメリットをしっかり説明します。
手術の手順など、一通りの説明がすんだら、入院前に800cc の自己血を貯血しておきます。貧血の改善にも役立つし、手術後の血液補給にも有効なので、その血液は全部患者さんに戻します。私たちはこの病院で15 年以上この手術を行っていますが、その間に800cc の自己血を超えて輸血が必要になった患者さんは一人もいません。
また、高齢者はどうしても骨が弱くなっていますから、人工関節置換術を行うときには、脛のインプラントはセメントを使って固定する方法をとっています。

手術前のリハビリも重要

日向野 雅典 先生

当院での手術日は毎週月曜日ですから、前の週の木曜日に入院してもらいます。病院の雰囲気に慣れてもらうためと、手術の前にリハビリ科で患者さんの膝周りの筋力の様子などを評価するためです。手術後のリハビリを開始する時に、初めて大事な指導をしても勝手がわからないことがあるので、リハビリ室の専門家・理学療法士たちとシミュレーションを行うのです。
また、松葉杖や車いすの使い方も練習してもらいます。リハビリ室には、すでに手術を終えた患者さんもリハビリを行っていますから、様子を見たり聞いたりするだけで安心できるようです。当院には、患者さんをサポートするスタッフがそろっているし、リハビリに対する満足度は高いと思います。患者さんの状態や性格などに合わせて、コミュニケーションを十分とってそれぞれに合わせたケアをしていきます。

入院中のリハビリは一人ひとりに手厚くアドバイス

リハビリ室

手術の翌日には、ベッドの上で足を上げたり、腰掛けたりする練習をします。2日後、付けていたドレーン(管)を外して車いすでリハビリ室まで行き、歩く訓練が始まります。どんなリハビリを行うか患者さんはすでにわかっていますから、不安はないでしょう。神経ブロックのチューブから薬を流し込むなど、痛みをコントロールしながら歩行訓練を行います。入院期間は4~5週間、十分なリハビリ期間でもあります。
一本杖を使用して、もしくは杖なしで階段の上り下りができるようになったら退院というのが目安ですが、目標は、退院後に戻る家の環境によっても違います。本当はベッドの生活のほうがいいと思うのですが、頑として畳に布団がいいという人もいます。こういう人には、入院中から、床から立ち上がる練習をたっぷりしてもらいます。マンションでバリアフリーの生活か、寝室が2階にあるかなど、それぞれの生活様式に応じて問題なく生活ができるように訓練をしたうえで退院になります。


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