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専門医インタビュー

痛みのことが頭から離れず自ら行動を制限するようなら人工股関節を提案

林 淳慈 先生

埼玉県

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1986 年に東京医科大学卒業後、同年昭和大学藤が丘病院整形外科に入局。1999 年、新座志木中央総合病院整形外科部長、昭和大学藤が丘病院整形外科兼任講師。2003 年、同病院副院長、人工関節リウマチセンター長、2013 年より同病院院長。日本リウマチ学会認定リウマチ指導医・専門医、日本整形外科学会認定整形外科専門医、アメリカリウマチ学会(ACR)、日本臨床リウマチ学会、日本脊椎脊髄病学会、日本人工関節学会。

この記事の目次

今、高齢化に伴って関節の痛みや不具合を抱える人が増えています。
年を取れば仕方がないのでしょうか?
「いくつになっても自分らしく動きたいと積極的に願う人なら、人工股関節置換術できっといい結果が得られます」と話す林淳慈先生に伺います。

最も多いのは変形性股関節症、ほかにもさまざまな原因が

股関節唇損傷(左)とインピンジメント(右)

股関節唇損傷(左)とインピンジメント(右)

痛みの原因として一番多いのは変形性股関節症でしょう。圧倒的に女性に多く見られ、もともと股関節のかぶりが浅い臼蓋形成不全があるために起こります。
しかし、最近話題になっているのが、逆にかぶりが深すぎるために起こる関節唇損傷や、大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)、また大腿骨頭壊死による股関節の痛みです。さらに高齢者で急に股関節が壊れてしまう急速破壊型股関節症も原因の一つ。この病気についてはまだはっきりわかっていませんが、歳をとって骨が弱くなり股関節の周りに小さな骨折が起こるために痛みが出るといわれています。
関節リウマチも股関節の変形や痛みの重大な原因です。ほかに、股関節の痛みを訴える人のMRI をみると、骨折していた(大腿骨近位部骨折)ということもありますし、単純な股関節炎が原因になっている場合もあります。股関節炎は、子どもに多いのですが、免疫力が弱い高齢者や糖尿病の人にも起こりやすいのです。
虫歯や歯周病菌、感染性心臓内膜炎などの菌が関節に飛んで関節炎を起こすこともあります。

股関節の不具合は、高齢社会に伴う問題の一つ

林 淳慈 先生

股関節の痛みの原因を探していくと実にさまざまなことが見えてきます。いずれにしても股関節の不具合は高齢になると増えてくるのは間違いありません。
厚生労働省のデータ(平成22 年)でも、要支援、要介護状態の5 人に1 人、女性の場合は4 人に1 人が、関節疾患や骨折などによる運動器の疾患が原因だといわれています。
変形性股関節症も、早めに気付いて適切な対応を取ることで、寝たきりを予防することができるというわけです。

変形性股関節症の対応法にはどんなものがありますか

寛骨臼回転骨切り術

寛骨臼回転骨切り術

初期、前期の場合は股関節周囲の筋力強化と、体重のコントロールをアドバイスしています。やはり体重が重すぎると股関節に負担がかかってしまいますから、まずは適正な体重を保つことが大切です。
筋力をつけるのも重要ですが、痛みを我慢してまでも無理に動くのはお勧めできません。特に高齢の方は、杖を使って痛みをカバーしながら、ゆっくり歩くだけのでもいいのです。 若い方で、臼蓋形成不全が強い場合には寛骨臼回転骨切り術を勧めています。
しかし、50 歳以上の人で、軟骨が損傷し骨頭変形を起こしてくると骨切り術では対応できません。私は、50 代で手術が必要な患者さんには、手術後の回復も早い人工股関節置換術を提案しています。


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