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専門医インタビュー

人工股関節置換術で人生が変わる 動ける股関節を手に入れよう

この記事の専門医

徳永 邦彦 先生

新潟県

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1988年 新潟大学医学部卒業、新潟大学整形外科入局。1990年 新潟労災病院・整形外科勤務。1991年 新潟県立小出病院・整形外科勤務。1993年 新潟大学大学院入学、東京大学医科学研究所・感染症研究部留学。1995年 大阪大学・病理学教室留学。1997年 新潟大学大学院卒業、インディアナ大学・解剖学教室留学。1999年 新潟県立がんセンター病院・整形外科勤務。2000年 新潟大学附属病院・整形外科助手。2006年 新潟大学医歯学総合病院・整形外科講師。2007年より現職。

この記事の目次

じっとしていてはいけない、どんどん動いて

脱臼しやすい格好、例えば、社交ダンスでジルバを踊る時のようにひねる姿勢はとらないでください。もう一つ、膝を胸まで抱え込むほど思い切り曲げないでください。これだけを避ければ、あとは何をしても大丈夫、好きなことをしてください。
退院してすぐに車を運転する人もいます。私の患者さんの中には、退院する前に一時帰宅したいというので許可した人がいます。何事もなく戻ってきて7日目に退院したのですが、ずいぶん後になって、一時帰宅をした時、実は除雪車に乗って作業をしてきたと話してくれました。親戚の家が大雪で大変なことになっていて助けてほしいという連絡があったので、除雪車を運転したと…こんな豪快な人もいました。
何をしても、結局は自己責任ではありますが、退院後にじっと安静にしていてはいけません、どんどん動いてください、と話しています。
退院後6週間目に外来受診をしてもらいますが、その間、おとなしく家にこもっていた人はすぐにわかります。回復が遅いのです。すぐに仕事に戻った人、農作業や家事を普通にこなした人ほど、順調に動けるようになるものです。
退院後は、どんどん動いてください。3カ月もたつと、痛みや腫れも収まり、手術したことを忘れるくらい馴染んでくるでしょう。

機能を回復、生活の質を上げるのが目的

機能が回復して、生活の質を上げるのがこの手術の目的です。人工股関節置換術は、その人の人生そのものを変える手術なのです。化粧けもなく肥満体だった50代の女性、変形性股関節症のために長い間思うように動けなかった人ですが、人工股関節全置換術後には杖なしで歩けるようになりました。本人もよほどうれしかったのでしょう。退院後の最初の外来のときに金髪のかつらをかぶって現れたのです。スカート姿でお洒落になって、見間違えました。診察中も満面の笑みで、「あ~、この人の人生は変わったんだ」と強烈な印象として残っています。
人工股関節置換術で、患者さんの人生が変わるのです。人工股関節にしたら、あとは「大事に使いましょう」と言うのは間違えです。「もっと、もっと人生を楽しんでください」と、患者さんにいつも話しています。

合併症の話もあらかじめ正直に説明

合併症

合併症

どんな手術でも、100%安全に問題なく済むというわけではありません。
患者さんには、合併症について、起こる確率とその場合の対応法などをあらかじめ丁寧に話しています。1,000人に5人に感染症が、100人に1人に脱臼が起こるという報告があります。骨折や神経麻痺がおこる人も稀にいます。それを知ったうえで手術を受けてもらいます。患者さんと医師は信頼関係が大事です。手術は契約ですから、私はあらかじめ何もかもすべてを丁寧に説明したうえで行います。そして、何が起こってもきちんと対応します。

患者さんへのメッセージをお願いします

徳永 邦彦 先生

股関節が悪い人は、必ず手術しなくてはならない、もう人生終わりだとは思わないでください。
軟骨が壊れる病気である変形性股関節症は、進行すればするほど痛みが増して歩けなくなるというのは、大きな勘違いです。
末期になると痛みは感じなくなります。でも、階段の上り下りができない、自分で靴下がはけない、長時間歩けないなどの基本的な動作ができなくなります。関節が固まって動かなくなっているのを、痛いから動かせないと思い込んでいるから、患者さん自身も痛いと表現してしまうのだと思います。
歩けないのは痛いからではない、関節が固まって動かないのです。でも、ジャンプさせたら出来るのです。痛くないことに気付くのです。

胡坐で靴下を履く

胡坐で靴下を履く

階段を上る

階段を上る

治療の目的は動く股関節を手に入れることです。動けるようになるために人工股関節置換術をする、そういう人は手術に成功します。そこが大事なことだと思います。術後はできるだけ胡坐の肢位で靴下を履いたり趾の爪を切ったりして股関節の可動域を維持します。エレベーターやエスカレーターではなく、可能なら階段を使用しましょう。
脚の付け根周辺の不具合で悩んだり、動きづらくて困っていたら、股関節の専門医に相談してください。何度も何度も話し合いながら、私の考え方、私のやり方を理解してもらえたら、一緒に人生を変えていきましょう。


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