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専門医インタビュー

つらい膝の痛み 部分的な人工膝関節という治療法もあります

この記事の専門医

山本 晋士 先生

千葉県

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千葉大学大学院医学研究員卒業後、柏市立病院 整形外科医長を経て2012 年より現職に。
認定資格:日本整形外科学会専門医、日本体育協会公認スポーツ医、身障者福祉法指定医(肢体不自由)、厚生省主催義肢装具等適合判定医師研修修了

この記事の目次

「片側置換術」(部分置換術)のメリットについて教えてください

全置換術後のレントゲン

全置換術後のレントゲン

人工膝関節の片側置換術では、大腿骨と脛骨をつなぎ、膝の動きを安定させている「前十字靭帯」という強力な靭帯を温存することができます。さらに、膝関節の動きに影響する「内側広筋」も、一部のケースを除いて温存することができます。しかも、傷口も全置換術に比べ小さくてすむというのもメリットだと思います。
片側置換術だと、痛みのある部分だけ取り除き、膝をスムーズに動かすために必要な機能をより多く残せることが多いため、“自分の膝”という感覚を得られる方が多いことが治療の満足度につながっているのだと思います。耐久性の面でも、人工関節の技術の進歩により、全置換術と遜色なく、20~30年は持つといわれています。

「片側置換術」は誰でも受けられるのでしょうか?

片側置換術後のレントゲン(正面と側面)

片側置換術後のレントゲン(正面と側面)

片側置換術を受けられるかどうかは条件があります。当院の場合は、「年齢70歳以上」、「肥満ではない」、「膝の内側にだけ症状が限られている」、「膝をしっかりと曲げ伸ばしできる」、「前十字靭帯の機能が保たれている」、「関節リウマチではない」などの条件をクリアしている方には、治療の選択肢の一つとして片側置換術の適応があることをお知らせしています。
逆に言うと、膝関節の変形や傷みが内側だけでなく、外側にも及んでいる場合や、前十字靭帯が切れている場合は、全置換術が適応になります。
また、年齢が若く、骨がしっかりしている方の場合は、片側置換術も含めて人工膝関節ではなく、自分の膝関節の骨の一部を切って移動させ、荷重バランスを矯正する「高位脛骨骨切り術」のほうが向いていると思います。

「片側置換術」のリスクはありますか?

片側置換術の場合、手術後、人工関節周囲骨折というのが起こることがあります。全置換術ではそのようなことはあまりありません。さらに、膝関節の片側にだけ人工膝関節を入れるので、設置時のバランスが良くないともう片方の健康な部分が早く傷んできてしまうこともあります。私自身は、片側置換術は、前十字靭帯などが温存できるために膝関節の再現性が高く、患者さんの満足度も高いので、適応する方には積極的に勧めていますが、自分にとってどの治療法がいいのかじっくり説明を聞いた上で、ご自身が納得のいく治療法を決めるのがいいと思います。
手術時間は、私の場合、片膝の全置換術で1時間半くらい、同じく片膝の片側置換術で50~60分くらいです。入院期間は、当院の場合は3週間を目安としていますが、片側置換術の場合は前十字靭帯などが温存されるので、全置換術よりも1週間短く、2週間ほどで退院できる方がほとんどです。


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