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専門医インタビュー

つらい膝の痛み 部分的な人工膝関節という治療法もあります

この記事の専門医

山本 晋士 先生

千葉県

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千葉大学大学院医学研究員卒業後、柏市立病院 整形外科医長を経て2012 年より現職に。
認定資格:日本整形外科学会専門医、日本体育協会公認スポーツ医、身障者福祉法指定医(肢体不自由)、厚生省主催義肢装具等適合判定医師研修修了

この記事の目次

両足同時に人工膝関節の手術を受けることはできますか?

両足同時置換術後レントゲン

両足同時置換術後レントゲン

変形性膝関節症の場合、左右両方とも傷んでしまっている方が多いという印象があります。特に、O脚の方の場合、両足同時に人工膝関節置換術を行うとO脚が改善され、また足のアライメント(骨の並び)が良くなることで腰への負担が軽減され、腰の痛みが改善する方もいます。
私は股関節を専門としていますので、股関節と膝を同時に人工関節に置換するということも行っています。特に、変形性関節症で股関節も膝も傷んでいる場合、どちらか一方だけ人工関節に置換しても変形が改善せず、痛みなどの症状が残ってしまうことがあります。
手術前には、CT撮影した画像をもとに3次元画像をつくり、それをもとに術前計画を綿密にたてます。手術中は「簡易ナビゲーション」を使って、足全体のアライメント(骨の並び)がしっかり整う対策を取って、股関節、膝関節同時の人工関節置換術のメリットを高めています。また、両足同時もしくは股関節、膝関節同時に手術することで、治療費と入院期間が1回分ですむというメリットもあります。高額療養費制度を使うと1ヶ月の自己負担上限金額が決まっていますから、両方同時なら1回分の治療費ですみます。入院期間も、当院の場合は、片方でも両方同時でも同じ3週間程度なので、1回の入院ですむということになります。

人工関節を正しく設置するということが重要なのですね?

3Dによる術前計画

3Dによる術前計画

やや専門的になりますが、膝関節の場合、O脚、X脚などの変形度合いを見る指標があり、その一つに、大腿骨頭の中心と足関節中心を通る線をミクリッツラインと呼ばれるものがあります。膝の場合、このラインが中央を通っていないと荷重が偏り、偏った部分の軟骨がすり減ってしまうわけです。人工膝関節は、このミクリッツラインを通るように設計されているので、患者さんの体に設置するときに、このラインを外さないように手術をする必要があるのです。O脚やX脚を矯正し、膝関節が本来の正常なかみ合わせとなるように人工膝関節を設置することができれば、膝関節の内側、外側に均等に荷重がかかります。前述したように、簡易ナビゲーションを使うことによって、術前計画どおりに正確な角度で骨を切り、その方にあった位置や角度で設置していきます。手術中に簡易ナビゲーションを使うと、使わなかったときと比べて、私の場合、20分ほど手術時間が長くなります。しかし、本来の膝の動きに近づくほど患者さんの違和感も減り、人工膝関節の持ちもよくなることを考えると、手術時間が長くなることを差し引いても患者さんにとってメリットがあると思います。

人工膝関節の退院後に注意することはありますか?

患者さんの体の中に人工物が入っているわけですから、最低でも一年に一回は定期的に受診してください。特に、手術後も痛みがある場合、私は、頻回に受診してもらうようにしています。それは、私が股関節を専門としていることとも関係しているのですが、股関節の場合、特に人工関節置換後の痛みは、深刻なトラブルのサインであることが多いからです。膝の場合、特に全置換術を行ったときに、動きもスムーズで何も問題がなくても、患者さんは多少の違和感や痛みを訴えてくることがあります。それも半年、一年のうちに自然に改善していくことが多いのですが、痛みがあるのは何らかの問題があるはずです。そう考えて手術後も患者さんからの痛みの訴えを軽視せずに、できることに精一杯取り組んでいます。

最後に、膝の痛みに悩んでいる方にメッセージをお願いします

山本 晋士 先生

「痛み」というのは、生活に大きな支障を及ぼします。例えば、膝に負担がかかるから痩せなさいとか、筋力をつけなさいといわれている方もいると思いますが、そもそも膝が痛くて動けないから太ってしまい、筋力も落ちていくわけです。そう考えると、私は、ダイエットや筋トレよりも膝の痛みを改善することのほうが先決ではないかと思います。治療法も、保存療法や自分の骨で治す骨切り術があり、最終手段といわれている人工関節も方法は一つではなく、全置換術の他に部分的に置換する片側置換術もあります。この中から自分に合った治療法を選ぶには、痛みを感じたら早めに受診し自分の状態を確認することが大切だと思います。私は、人工関節は車のタイヤを交換するのとはわけが違って、患者さんの人生に影響を与えるという自覚を持ち、患者さんと信頼関係を築けた上でなければ人工関節の手術はできないと考えています。患者さんとしても、何かあったらすぐに対応してくれる医師がそばにいること、一生のお付き合いができることを医師選びの基準にして、自分に合った適切な治療を受けていただきたいと思います。




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