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専門医インタビュー

高齢期を痛みと共に過ごすのはつらいもの。違和感は早めに相談を

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宮城県

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日本整形外科学会、日本股関節学会(評議員)、日本小児股関節学会(評議員)東北整形災害外科学会所属。整形外科専門医

この記事の目次

実際に人工股関節置換術の手術を受けた患者さんの変化、様子はいかがですか

筋力回復には4カ月~半年かかるため退院後2カ月くらいは立ち上がるのに慎重になりますが、半年後には「後ろ姿が別人のようになった」とおっしゃる方もいます。痛みや動きの制限がなくなったことはもちろん、靴下を簡単に履けるようになった、爪を切れる、歩く姿勢がよくなった、歩幅が大きくなったなどの日常の動作ができることに対する喜びの声が聞かれます。また足の長さの違いを手術で調整することで、歩きやすくもなるようです。年配の方は、もっと早く手術を決断すればよかったとも。旅行に出かけられるなど、趣味が増えたと話す人もいます。

手術について、最新の動向についても教えてください。

後方侵入による皮膚切開
赤:従来の方法による切開(13~18cm程度)
青:MISによる小切開(5~8cm程度)

人工関節置換術後のX線

10年ほど前に、MIS(最小侵襲手術)という手術が大変話題になりました。この手術は、女性が特に気にされる皮膚切開を最小に抑えられるのが大きな魅力です。手術時間の短縮や、術後の痛みの軽減、リハビリにも早く取り組めるメリットもあります。MISの普及により従来は大学病院に集中していた手術が小さな病院にも広がり、日本では多くの整形外科医が導入し手術技術の進歩につながりました。
今後は、傷の大きさはもちろんですが、経過に沿った人工関節の正確な設置が重要になってくるでしょう。人工股関節は、設置が正確なほど関節としての耐久年数が延びるため、患者の特性に合わせてどれだけ正確に設置できるかが問われるようになります。少しの角度のずれも動作のしやすさに影響を与えるため、さまざまな検査の実施や、骨盤の上からでも正確な手術を可能にするナビゲーションの導入、手術後の設置を多角的に評価することなどで、正確さを高めていくことが求められてくると思います。

手術後の生活で気を付けるべきことは?

変形の進行を遅らせる保存療法と同様に、重い物を持ったり、激しい運動をしたりするのは避けましょう。股関節に負担のかかる、農作業や跳んだり跳ねたりするスポーツもいけません。基本的に、激しい運動をするために手術を受けたのではなく、日常生活をよりよくするために手術を受けたということを心に留めて過ごせばいいと思います。また日常生活では和式トイレにかがむ、女の子座りなど、脱臼の可能性の高い体勢も避けたほうがいいですね。
また、太りすぎず、痩せすぎないことを心掛けてほしいと思います。痩せすぎは骨密度を低下させ、骨粗しょう症、ひいては股関節にも影響を与えることがあります。なお、術後は最低年に1度は定期検診が必要です。手術を受けた病院で、人工関節の状態をチェックしてもらってください。

股関節の痛みに悩む人へ、メッセージをお願いします。

変形性股関節症は誰もがかかる病気ではありませんから、痛みを感じたらその原因が何かをきちんと診断してもらうことが大切です。専門医の元では手術でも保存療法でも、本人の希望に則した治療のアドバイスを受けることができます。高齢になってからの手術は不安も多いので、焦らず、じっくり判断されて良いと思います。ただ、残りの人生を痛みと共に過ごすのはつらいことも多いので、手術についてもぜひ前向きに検討してみることをおすすめします。


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