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専門医インタビュー

肘や手指の痛み、腫れは、関節リウマチと上肢の治療に精通した手外科専門医に相談を

この記事の専門医

國府 幸洋 先生

千葉県

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日本整形外科学会専門医、日本手外科学会専門医、日本整形外科学会認定リウマチ医、日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医、日本骨粗鬆症学会認定医、日本リウマチ財団登録医、デュピュイトラン拘縮酵素注射療法適正使用講習修了、AO Trauma principles, advances course, Masters course 修了、AO Trauma Hand & Wrist, Cadaver course 修了、身体障害者福祉法指定医(肢体不自由)、臨床研修指導医、臨床プログラム責任者

この記事の目次

人工肘関節のMIS 手術について教えてください

腕の筋肉・骨のイラスト

従来行われてきた人工肘関節置換術は、上腕三頭筋という筋肉を切ったり剥がしたりする必要があるため、一般に、手術後3週間くらいはシーネ(添え木の一種)で固定し保護する必要があり、本格的なリハビリ開始時期が遅く、入院期間も長くなる傾向にありました。最終的に、肘を伸ばす筋力が著しく低下してしまうことも少なくありませんでした。
そこで、私は、従来の手術を独自に改良し、上腕三頭筋を切離しないで人工肘関節を置換するMIS(最小侵襲手術)を応用し実践しています。上腕三頭筋を温存するMISで行うと、当院の場合は、手術から数日後には肘の曲げ伸ばし訓練を開始し、一週間ほどでシーネは不要になり、腕を振って歩けるようになる方がほとんどです。傷口がふさがって自分で洗顔・洗髪ができれば、手術から2週間ほどで退院できます。日常生活への復帰の早さや術後すぐに動かすことができることに喜ばれる患者さんがほとんどです。一番喜ばれるのは、痛みが改善することです。痛みに悩まされない生活を取り戻したときに、もっと早く手術を受けておけばよかったと後悔する方もいます。このMIS人工肘関節置換術を行っている医療機関は、日本ではまだ非常に少ないため、情報が不足しているのが現状です。一日も早く、痛みを改善させて肘関節機能を回復させたいとお考えの方は、是非一度相談されてみてはと思います。

人工肘関節の手術後、気をつけなければいけないことはありますか?

人工肘関節の写真

無理のない範囲で運動すること、そして、異変を感じたらすぐに主治医を受診することが大切です。定期検診も欠かさないでください。また、風邪は肺炎、膀胱炎などの感染症にかからないように予防に努めることと同時に、過度な負担を避けることも重要です。患者さんの中には、痛みや動かしにくさから開放されて、スポーツを始めるなど活動的になる方も少なくありません。しかし、人工肘関節の土台は、患者さん自身の骨や筋肉ですから、ご自身の状態に応じた活動に留めておくことは非常に大切なことです。また、50代以上の女性なら骨粗しょう症の検査を受け、必要であればしっかり治療を受けていただきたい。
あるいは、加齢やケガで足腰が弱くなってくると、つい手をついて立ち上がり、人工肘関節に過度な負担がかかるので、適度な運動で足腰を鍛え、転倒・骨折を起こしにくい体づくりを行うことも大切です。
健康に自信がある方でも、上肢に衝撃のかかる新しいスポーツを始めるときは、主治医によく相談してください。

最後に肘の痛みに悩んでいる方へメッセージをお願いします

國府 幸洋 先生

肘の痛みに悩みながらも、治療を諦めていたり、詳しい治療法を知らないまま、つらい生活を送っていたりする方がまだまだ多いのが現状です。私の外来を受診された多くの患者さんも、「今まで肘についてこんなに詳しく説明してもらったことはなかった」とか、「自分の関節がどんな状態なのか知らなかった」と驚かれる方が多いです。整形外科の中でも、関節リウマチに精通し、なおかつ人工肘関節の手術を行える手外科専門医が少ないという実情はあるものの、希望を捨てないでマイドクターを見つけていただきたい。関節リウマチや変形性肘関節症だけでなく、ひどい粉砕骨折や骨が元通りに癒合しない難治性の偽関節(骨がつかない)、外傷後のひどい後遺症などには、人工肘関節が有望な治療法になるので、ぜひ専門家の意見を聞いてみてください。患者さん個別の病状に応じて、人工肘関節を含めた適切な治療法を提案してもらえるはずです。




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