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専門医インタビュー

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この記事の目次

つらい肘や手指の痛みには、関節リウマチという病気が隠れていることがあります。名戸ケ谷病院の國府先生は、「肘や手指の関節に痛み、腫れがみられたら、すぐに関節リウマチ治療に精通した手外科専門医を受診してほしい」と話します。関節リウマチによる変形性肘関節症の治療について伺いました。

肘の痛みの原因は何ですか?

肘の構造のイラスト

まず、肘の構造から説明すると、肘関節は、上腕骨と尺骨、橈骨の2つの前腕骨の合計3つの骨が組み合わさっています。腕をスムーズに曲げ伸ばしでき、重いものを持つこともできるのは、肘関節の可動部分の骨が軟骨で覆われ、これを囲うように関節包や靭帯、筋肉などが肘関節を安定化しているためです。
肘関節が痛む原因としては、ケガによる上腕骨の骨折、野球やテニスなどによるオーバーユース(使い過ぎ)によるものがあり、最も多いのは、変形性肘関節症です。変形性肘関節症は、肘関節の軟骨がすり減り、変形を来たす病気で、多くは肘を酷使することが原因で発症します。その中でも、人工肘関節などの手術が必要になるのは、多くは関節リウマチの患者さんです。特に、30代以降に比較的多くみられる関節リウマチに伴う変形性肘関節症は、十分な治療を受けないでいると関節の変形や骨破壊が進行してしまいます。

肘の痛みと関節リウマチの関係について教えてください

正常な肘関節と関節リウマチ等による変形した肘関節のイラスト

 正常な肘関節        関節リウマチ等による変形した肘関節

関節リウマチは、およそ男性1、女性4の割合で、圧倒的に女性に多い病気です。若いうちから関節リウマチになる人も多く、発症には、喫煙、肥満、運動不足が関係していることがわかっています。関節リウマチの初期は、手のこわばりや微熱、疲れやすさといったありふれた症状で発症することが多いため、早い段階ではなかなか病院にかかれないことが多いのです。
しかし、診断が遅れるとそれだけ、関節の痛みや変形といった整形外科的なところに問題が及んできます。
関節リウマチでは、痛みの原因となる滑膜が異常に増え、それが肘に起きると痛みや腫れを引き起こすのです。

関節リウマチも整形外科で診てもらえるのですか?

國府幸洋先生の写真

関節リウマチは、主に整形外科と内科で対応しています。関節リウマチが疑われる場合に整形外科を受診するメリットは、レントゲンや超音波検査、MRI などの画像検査で関節や骨の状態を確認しながら、診断できることだと思います。実は、関節リウマチは、手のこわばりや痛み、関節の腫れから発症することが多く、8割以上の患者さんは、手や肘、肩といった上肢に障害があるといわれています。肘の他にも手指の関節に痛みがあり、関節の腫れが一か所以上あるときは、関節リウマチの可能性があります。原因がよくわからないこわばりや関節の痛み、腫れがある場合も含めて、整形外科の中でも関節リウマチに精通した手外科専門医を受診することをおすすめします。

肘の痛みの原因が関節リウマチの場合の治療法を教えてください

関節内注射

関節内注射

肘の痛みや変形性肘関節症の原因が関節リウマチだと診断された場合、基本は薬物治療となります。関節リウマチでは、関節内の滑膜という組織が異常に増殖し、それが原因で軟骨や骨が溶け、関節が破壊されてしまいます。時には腱鞘炎を引き起こすこともあります。
そこで、薬物治療では、抗リウマチ薬や生物学的製剤で将来的な関節破壊の進行抑制と寛解を目指します。特に、若い人で病気の勢いが強かったり、発症初期からレントゲンで骨びらんという初期の骨破壊がみられた場合には、こうした効果の高い薬剤をおもいきって使うことが重要です。また、「今ある痛み」に対しては、非ステロイド性抗炎症薬(内服・外用薬)や少量のステロイドを関節内に注射することで、症状を改善させます。それでも満足できるレベルに痛みが改善しない場合や、関節の構造が破壊されている場合には、手術を検討します。痛みの原因となる病的な滑膜の切除だけで済むこともありますが、軟骨がなくなってしまった方には人工肘関節置換術を提案します。


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