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専門医インタビュー

膝の痛み 早目に専門医に相談 適切な治療選択を

この記事の専門医

渡邉 信佳 先生

京都府

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日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本整形外科学会認定リウマチ医、日本スポーツ協会認定スポーツドクター、日本人工関節学会認定医

この記事の目次

人工膝関節置換術を受けるタイミングはあるのでしょうか?

膝の痛みのために仕事や趣味を諦めないといけないなど、生活に支障が出始めると、手術を真剣に検討し始める方が多いと思います。手術を受ける方は70代ぐらいが中心で、最近では80代の方も増え、中には90代で手術を決意される方もいます。ご高齢でも健康で体力があれば手術は可能なので、膝の痛みを軽減しご自身でいろいろなことをしたいなど、目的が明確であれば前向きに検討する価値があると思います。
一方、人工膝関節が体内で徐々に摩耗(まもう)したりゆるんだりすることが避けられないことを考えれば、40~50代での手術には慎重にならざるを得ません。将来的に再置換手術(さいちかんしゅじゅつ)が必要になる可能性が高くなるからです。最近は人工膝関節の耐久性がかなり向上しており、15年持つ確率は90%以上あるとの報告が多いですが、まだまだ活動量の高い50代の方に実施するかどうかは、さまざまな観点から十分に検討する必要があります。年齢的にも症状的にも手術が望ましい場合でも「どうしても手術に抵抗がある」という方もいます。可能性が低いとはいえ、手術には血栓や感染など合併症のリスクをともないますから、ご本人が心から納得できない場合、無理せず保存療法を続けたほうが良いといえます。

変形性膝関節症のKL分類

人工膝関節置換術について詳しく教えてください。

「人工膝関節」というと、膝関節をまるごと取り替えるような手術を想像されるかもしれませんが、実際には骨の表面だけを削って金属でカバーする方法です。手術時間は通常ですと1時間半から2時間ぐらいです。人工膝関節を正確に設置するためには、骨をかなり精密に削る技術が求められますが、コンピューターとセンサーによるナビゲーションシステムが普及したことで、正確性も増しています。
薬も進歩しており、手術中にさまざまな種類の痛み止めを混ぜ合わせたカクテル注射を関節内に直接打ったり、膝の痛みに関係する大腿神経や坐骨神経にブロック麻酔をすることで、術後の痛みをかなり抑えられるようになりました。手術の方式としては、骨の表面を全面的にカバーする全置換術(ぜんちかんじゅつ)と、一部分だけをカバーする部分置換術(ぶぶんちかんじゅつ)があります。部分置換術が適用できれば出血量も少なく、さらに体の負担は少なくなります。
人工膝関節置換術のメリットは痛みの軽減ですが、合わせて「脚のかたちを整えること」も大きなポイントです。手術前はかなり強いO脚だった方も、手術で膝に均一に荷重がかかるように脚のかたちを整えると、O脚が改善します。体の負担は若干大きくなりますが、両膝を同時に手術する方もいらっしゃいます。


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