膝の痛み　ガマンせず、放っておかず　まずは、専門医にご相談を

変形性膝関節症には様々な治療法があるのでしょうか?

大腿四頭筋の筋力トレーニング

まずは、痛み止め薬や関節内にヒアルロン酸の注射を行います。変形性膝関節症は、人によって痛みのもととなる原因が異なりますので、どこが問題となって痛みが出ているかMRIを使い詳細に確認します。検査の結果、靭帯の安定性が悪いと診断できた場合は、筋力によって膝関節を安定させるために大腿四頭筋の筋力トレーニングを行います。寝た状態で脚を上げるトレーニングや、膝に負担がかからない角度までで行うスクワットがお勧めです。また靭帯は安定しているが、骨の変形（主にはO脚）による場合は、膝の一部に偏った負担がかからないように、医療用の靴の中敷き（足底板（そくていばん））を使用し、荷重がかかっている部分を分散させるという方法もあります。
このような治療を続けたり、過度に膝に負担がかからないように日常生活動作を見直すことで、変形が軽い方だと痛みが軽減してくることがあります。

変形性膝関節症の手術について教えてください

人工膝関節置換術

骨切り術

色々な治療を試しても、思ったほど症状が改善しないことがあります。手術は行いたくないものですが、痛みのせいで、これまでできたことやスポーツや趣味ができなくなることがあります。そのような時に、手術を受けて痛みを軽減し、スポーツをしたい、自分で歩きたい、山登りがしたい、という思いが強くなってきた時が手術を検討するタイミングだと思います。
代表的な手術には、骨切り術や人工膝関節があります。骨切り術は、靭帯などに問題がなく、膝の軟骨の損傷が内側もしくは外側の片側の場合に、膝関節近くの骨を切り、荷重がかかっている部分を変える手術です。人工関節よりもリハビリ期間に時間がかかったり、痛みが多少残ることもありますが、自分の関節が温存できる手術なのでテニスなど活動性が高い運動が期待できます。また人工膝関節置換術は、近年耐用年数が飛躍的に向上した結果、これまでよりも若い方でも手術を受けることができます。

人工膝関節置換術でも、コンピューター技術が進歩しているのですか?

ポータブルナビゲーション

手術前に患者さん一人ずつ、どのように手術を行うかという計画を立てています。手術中はその計画通りにいくよう手術を行うのですが、これまでは人の経験に頼る部分もありました。しかし、コンピューター技術が進歩したおかげで、手術中にポータブルナビゲーションを使い、人工関節をどの位置に設置すれば理想的なのかを手術中瞬時に確認できるようになっています。人工関節がより正確に設置できれば、人工関節本来の機能を発揮しやすく、そのため耐用期間や膝の曲げ伸ばし、患者さんの満足度向上にもつながっていくと思います。