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専門医インタビュー

膝の痛み ガマンせず、放っておかず まずは、専門医にご相談を

この記事の専門医

渥美 覚 先生

京都府

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三重大学医学部卒(平成16年)、医学博士
専門分野:スポーツ整形、膝関節外科、関節鏡手術
資格:日本整形外科学会専門医・指導医、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本医師会認定健康スポーツ医、日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会(JOSKAS) 関節鏡技術認定医、Jリーグ京都サンガF.C. チームドクター、女子サッカーなでしこリーグ伊賀FC チームドクター

この記事の目次

手術による合併症予防や、手術後の痛みの緩和にはどのような方法があるのですか?

エコー(超音波)検査

エコー(超音波)検査

頻度は少ないですが、手術による合併症が起こることがあります。感染症を予防するために、手術中は徹底的に清潔な操作を行います。手術中だけでなく、手術前に患者さんの全身検査を行います。糖尿病の方は血糖値をコントロールいただき、水虫など感染症の原因になるものが見つかれば先にその治療を行っていただきます。手術を受ける前だけでなく、退院してからも感染症のリスクがあるので、虫歯など原因となるようなものを放って置かず、できるだけ早く治療するようにしてください。そのほかに脚の静脈に血栓ができる深部静脈血栓症と呼ばれる合併症が起こることがあります。エコー(超音波)検査を行い血管の状態を確認し、血栓が見つかれば血液をサラサラにするお薬(抗凝固薬)を使い対処します。
手術中に皮膚や筋肉を切ったり、骨を削るので、術後はかなり痛みをともないます。手術による痛みをできるだけ軽減させるために、使用できる方には硬膜外麻酔を使います。硬膜外麻酔というのは、背骨の中にある硬膜外腔という場所に、細くて柔らかい管(カテーテル)を入れ、そのカテーテルから麻酔薬をいれて、手術部位の痛みを軽減する麻酔法です。非常に除痛効果の高い麻酔方法ですが、それに加えて、人工関節を入れた周りの組織に痛みや炎症を抑える薬などを混ぜた注射(カクテル注射)を行うとともに内服や点滴による痛み止め薬の使用など、様々な薬剤や方法を取り入れ、できるだけ痛みを感じにくい方法がとられています。

入院期間中のリハビリと、退院後に気を付けたほうが良いことがあれば教えてください

リハビリ

手術翌日から、膝の曲げ伸ばし訓練を行い、その後は患者さんの状態を確認しながら、立つ歩くという訓練を行っていきます。リハビリは、単に早く歩けるようにすることを目的としているのではありません。歩行が安定していない状態で無理して早く歩くと、転倒による骨折のリスクがあります。周りの人と比べると、自分は歩けるようになるのが少し遅いなと感じることがあるかもしれません。しかし少し時間がかかってでも安定した歩行になるほうが大切なので、しっかり安定した歩行ができるようにリハビリを頑張っていきましょう。
人工関節の手術は、退院がゴールではありません。しっかり膝を使えるようにするには、筋力を高めていくことが大事で、ご自宅に戻られてからもしっかり訓練を続けていくことがとても大切です。手術してから3ケ月くらいは、痛みや腫れが残る方もいます。けれども半年程度時間をかけながら、しっかり膝の筋肉を鍛えていくと、どんどん状態が良くなっていくと思います。しばらくたってくると、人工関節がご自身になじみ色々なことをやってみたいと思われてくるでしょう。医師に相談しながら色々なことを行っていただきたいのですが、ジャンプをともなう運動や、人と激しくぶつかるスポーツや、急にしゃがんだり、正座をするのは控えるようにしましょう。

膝の痛みに悩みを抱えている方へ励ましのメッセージをお願いいたします

痛みの原因が分からないというのは、不安につながると思います。膝が痛む原因は様々ありますが、膝が痛いと思っていても、実は腰など別の場所が原因の場合もあります。また、変形性膝関節症と診断されても、痛みのもとになっている原因は一つではなく、色々な原因が考えられます。お一人で調べたり、悩まず、膝に痛みがあればまずは専門医を受診いただきたいと思います。専門医を受診し痛みの原因が特定できれば、治療法を見つけることができるだけでなく、安心感にもつながると思います。


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