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専門医インタビュー

股関節の痛みの治療は進化・多様化しています
専門医と相談しオーダーメイドな治療選択を

この記事の専門医

金治 有彦 先生
  • 金治 有彦(かなじ ありひこ) 先生
  • 藤田医科大学 ばんたね病院 整形外科 教授
    藤田医科大学 整形外科機能再建学 臨床教授
    藤田医科大学 整形外科 人工関節センター 人工関節センター長
    慶應義塾大学 整形外科 特任教授
  • 052-321-8171

愛知県

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主な専門領域:股関節・小児整形外科
所属学会:日本整形外科学会(専門医・指導医)、日本股関節学会(評議員)、日本小児整形外科学会(評議員)、日本人工関節学会(評議員)、日本関節病学会(評議員)、日本CAOS研究会(世話人)、日本股関節鏡研究会(世話人)、日本軟骨代謝学会、日本骨代謝学会、東日本整形災害外科学会、関東整形外科災害外科学会、日本小児股関節研究会
資格:日本整形外科学会専門医

この記事の目次

高齢になっても、人工関節の手術はできますか?

日本人工関節学会のデータによると、人工関節置換術が主に行われている年齢は50歳~79歳です。しかし、近年では20歳~49歳の若年層と80歳以上の高齢層がいずれも増えています。「このまま寝たきりになって介護を受けるようになるのは困る」と考えて80代で手術を決断する方がおられますが、手術後に得られるADL(日常生活動作)は50~60代で手術を受けるよりも下がってしまうことがほとんどです。手術に抵抗があり先延ばしにし、関節の可動域や筋力が落ちて歩けなくなってから手術を受けても、正常な可動域までの回復に至らない場合があります。一方、60代で手術を受ければ、高いADLを80代まで維持することも期待できるでしょう。手術に耐えうる体力があれば何歳でも受けることはできますが、せっかく手術を受けるのならば、日常生活や趣味への復帰を目標にして早めに検討してみてもいいと思います。

合併症について知っておくべきことはありますか?

歩行訓練

人工股関節の代表的な合併症である脱臼は、MISとCASを併用した手術でかなり低減しています。細菌が人工関節に付着して起こる感染症も、MISテクニックを十分に習熟して手術時の出血を少なくすれば予防しやすいと考えられています。血液中に血栓ができる深部静脈血栓症については、術後の早期離床が有効な予防策です。早期リハビリの妨げになっていた手術直後の痛みは、手術中から腰椎麻酔と末梢神経ブロック、関節内カクテル注射を行い、手術後は、点滴や飲み薬など複数の薬を組み合わせることで手術の痛みをかなりコントロールできています。そのため、術後翌日にはベッドから離れて、歩行訓練や筋力トレーニングを段階的に進めやすくなりました。
高齢の方での手術件数が増えていますが、骨粗しょう症を患ってる方が多くおられます。骨が弱くなっていると、転倒などによって人工関節周囲で骨折を起こすことがあるので、骨粗しょう症があればしっかり治療を行い、骨折しないよう予防に努めましょう。

股関節の痛みに悩んでいる方にアドバイスをお願いいたします

股関節に原因があっても腰痛や膝痛といった形で症状が現れることがあり、診断が難しくなることがあります。腰や膝の治療を続けてもなかなか改善しない場合は、股関節の可能性もふまえて股関節の専門医を受診していただくといいと思います。変形性股関節症には保存療法と手術療法があり、保存療法にはリハビリ、内服薬、関節内注射などがあり、手術には股関節鏡手術、骨切り術、人工関節置換術と色々な選択肢があります。多くの選択肢を持っている股関節の専門医と出会い、ご自身のやりたいことや目標を話し合って治療法を選んでほしいです。痛みが強く変形も進行している、けれどスポーツなどの高い動作レベルを期待している方は、人工関節置換術を検討してもいいでしょう。医療技術の進歩は目覚ましく、以前よりも良い成績が得られている手術です。個々に合わせたオーダーメイド治療が患者さんの生活の質や満足度に直結すると思っていますので、専門医に困っていることや不安などを気軽にご相談ください。


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