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専門医インタビュー

膝や股関節の痛みははやめに受診し適切なタイミングでの治療を

この記事の専門医

藤田 健司 先生

石川県

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資格・認定等:医学博士、日本整形外科学会認定整形外科専門医、日本人工関節学会認定医、日本整形外科学会認定リウマチ医
所属学会:日本整形外科学会、日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会、日本股関節学会、日本人工関節学会、日本骨折治療学会、日本リウマチ学会、AO Trauma Japan(上級会員)

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この記事の目次

どのくらいの年代の方が人工関節の手術を受けられているのでしょうか?

日本には人工関節を受けた方の情報を登録する制度があります。日本人工関節学会の2017年の報告によると、手術時の年齢は、人工股関節(THA)は60歳代が、人工膝関節(TKA/UKA/PFA)は70歳代がもっとも多い年齢です。以前は、人工関節は、10-20年で入れ替え手術が必要となる場合がしばしばあり、できるだけ手術は先延ばしにしたほうが良いといわれていました。しかし、軟骨の代わりになるポリエチレンの耐久性が大幅に向上したことで、20年以上の長期間の耐久性を期待できるようになりました。現在では、50歳代でも人工股関節を、60歳代でも人工膝関節を受ける方がしばしばおられます。また、膝周囲骨切り術は、基本的には60歳代以下の方がよい適応になります。

一般法人社団日本人工関節学会 人工関節登録調査2017年度報告書より転載

一般法人社団日本人工関節学会 人工関節登録調査2017年度報告書より転載

人工関節の手術後は、かなり痛みを感じるのでしょうか?

手術は、骨や筋肉を切ったり骨を削ったりする、ある程度大きな手術になりますので、以前は、術後の痛みに耐えながらリハビリを頑張るのが一般的でした。現在では、神経ブロック注射や、手術中に長時間作用する局所麻酔薬などの注射、鎮痛剤の点滴や内服薬などの複数薬剤の使用、クーリング処置など、様々な方法の組み合わせによって、痛みがかなり軽減し、リハビリが順調に進むようになった印象があります。手術した反対側の関節も同様に痛んでいる患者さんがしばしばおられます。以前は、手術後の痛みが強かった場合は反対側の手術をためらう方がおられましたが、現在は早めに希望されることが多くなったと感じています。

人工関節手術後の合併症は、どのように予防していけば良いのでしょうか?

運動チェック表

運動チェック表

注意しなくてはならない合併症は、感染症です。まれですが、人工関節が感染してしまった場合は抜去しないと治らなかったり難治性になったりする場合があります。手術は感染症管理を徹底して行います。しかし、手術直後は問題がなくても、肺炎や尿路感染、皮膚炎や歯周炎など他の部位の感染を契機に、数年後に生じることもあります。そのため、人工関節手術を受けた方は、高熱を伴う疾患になった時はすぐに治療することが大切です。
その他に注意しなくてはならない合併症は、深部静脈血栓症です。足関節運動や弾性ストッキング、フットポンプや血栓をできにくくする予防薬など、複数の方法を併用して予防していきます。血栓症予防のために足関節運動は特に重要と考えており、チェック表を用いて、手術当日から一日あたり50回×20セット以上を目安として、積極的に行っていただきます。


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