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専門医インタビュー

適切な治療タイミングを逃さないためにも外反母趾は我慢せず専門医に相談を

この記事の専門医

田中 康仁 先生

奈良県

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専門分野:足の外科、スポーツ傷害、再生医療、関節リウマチ、血友病性運動器疾患、小児
資格:日本整形外科学会専門医・指導医・リウマチ医・スポーツ医、日本リウマチ学会専門医・指導医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本リハビリテーション医学会専門医・指導責任者

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この記事の目次

保存療法について詳しく教えてください

足底挿板

足底挿板

前述の足の指の体操に加え、装具療法として靴のインソール(中敷き)である足底挿板があります。靴に体重をかけた時に親指が広がるような形のインソールにすることで、曲がってしまった親指が元に戻る効果が期待できます。また、進行した外反母趾では、足裏の土踏まずのアーチが潰れて偏平足を合併していることも多いため、アーチサポート付きの足底挿板が有効です。足底挿板は保険適用で作製することができるので、ご自分の足に合ったものをあつらえるといいでしょう。
外反母趾の悪化を防ぐためには、先の細い靴やかかとが高い靴をなるべく避けることが大切です。さらに、足が滑って前にずれないように、かかとや足の甲が固定できる靴がお勧めです。ハイヒールを履く必要がある場合は、移動の時は別の靴を履くなどの工夫をして、履いている時間をなるべく短くするようにしましょう。なるべく早く治療を開始すれば、こういった保存療法だけで症状が改善することも多くあります。

手術が適応となるのはどのような場合ですか?

変形が強くても痛みが軽く、日常生活に不便を感じていなければ、敢えて手術をする必要はありません。逆に、変形は軽くても痛みが強く、保存療法では症状を抑えきれずに日常生活に支障をきたしている場合は、手術が適応となることがあります。ポイントは、手術をしてでも軽減したい痛みがあるかどうかです。
進行した外反母趾は、親指だけでなく他の指も連動して変形したり、関節が亜脱臼を起こしたり、偏平足を合併するなど、さまざまな症状が起こっている可能性が高くなります。外反母趾の手術は、基本的には曲がっている指を真っ直ぐにする手術ですが、実際には周囲の症状のある組織を修復していくことになります。

外反母趾の手術にはどのようなものがありますか?

骨切り術のイメージ

骨切り術のイメージ

多く行われているのは中足骨の骨(こつ)切り術で、中足骨を切ることによって親指の変形を矯正します。切り方もいろいろありますが、軽症~中等症の場合は中⾜⾻の遠位(指先側)を、変形が強い重症例には中足骨の基部(踵側)を骨切りすることが多くあります。重症度の高い外反母趾では関節が不安定なため、手術後、徐々に外反母趾が再発するおそれがあります。その場合は、足根中足関節(TMT関節)を固定して矯正する関節固定術(Lapidus法)を行うことで、再発の抑制を図ることがあります。矯正した部分は金属でできたインプラントで固定しますが、以前は、スクリューと呼ばれるネジだけで固定していたために矯正した部分の固定力が弱いという問題がありました。近年はロッキングプレートなど足専用のインプラントが多く開発されたため、より高い固定力を期待することができます。外反母趾の術式は150種類以上もあるため、患者さん個々の足の形や変形の程度、年齢、合併症の有無などを考慮して、適切な方法を選択することになります。また、医師によっても選択の基準は異なりますので、手術を受ける際にはよく説明を受けて、納得してから治療を進めるようにしましょう。


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