メニュー

専門医インタビュー

[an error occurred while processing this directive]

[an error occurred while processing this directive]

この記事の目次

中高年に多い変形性膝関節症は、年齢と伴に進行していく病気です。そのため、最初は保存療法で痛みが改善しても、やがて手術が必要になることもあります。手術を受けるなら、「タイミングを逃さないでほしい」と語る水島中央病院の加原尚明先生に、変形性膝関節症の症状や治療法について詳しく話を伺いました。

関節リウマチや大腿骨内顆骨壊死について教えてください

大腿骨内顆骨壊死

大腿骨内顆骨壊死

中高年世代の膝の痛みを引き起こす病気として最も多いのは変形性膝関節症です。しかし、関節リウマチや大腿骨内顆骨壊死(だいたいこつないかこつえし)も、膝の痛みの原因としてよく見られる病気です。
関節リウマチは、自己免疫疾患のひとつで、異物を排除する免疫機能が自分の組織を異物とみなして攻撃する異常反応による病気で、関節の滑膜が異常に増殖し炎症が起き、腫れや痛みが生じます。
大腿骨内顆骨壊死は、明確な原因はまだよく分かっていません。ただ、最近は、関節軟骨のすり減り、骨折、半月板や靭帯損傷などによって、膝関節への荷重が偏り、部分的にストレスがかかっているところに骨粗しょう症などがあると、脆弱性の骨折を起こし、それが引き金となって壊死するのではないかと言われています。60代、70代以降の方に多く発症する印象があり、急に強い痛みが起こり、特に、夜寝ている時にも強い痛みを感じる特徴があります。初期の段階ではレントゲン検査では異常が見られないことが多く、MRI検査が必要になる場合もあります

変形性膝関節症は、どんな方がなりやすいのですか?また、受診のタイミングを教えてください

正常な膝と変形性膝関節症(進行期)

変形性膝関節症は、膝関節の軟骨がすり減っていくことで、膝の形が変形し、腫れや痛みが起きる病気です。変形性膝関節症には、加齢や筋肉の衰え、肥満などによって関節軟骨がすり減る「一次性」によるものと、骨折や半月板損傷などのケガ、関節リウマチや大腿骨内顆骨壊死など病気が原因となる「二次性」のものがあります。一次性の場合は、60歳くらいから症状が出始める方が多いのですが、二次性の場合は、原因となるケガや病気があるため、一次性よりも若い年代で症状が出ることがあります。
変形性膝関節症の初期段階(初発症状)では、動き始めや歩き始め、立ち上がる時に痛みが出ることがあります。
変形性膝関節症は年齢と伴にどんどん進行していく病気ですが、早期に受診することで進行を予防することが期待できます。痛みがあるということは、身体に何らかの異常が起きている証拠ですから、痛みを我慢し過ぎず症状が軽いうちに整形外科でその原因をしっかりと確かめることが大切です。

変形性膝関節症の治療法について教えてください

足底板

足底板

変形性膝関節症と診断されると、一般的には、保存療法から始まります。膝の痛みが強い場合や関節に水が溜まっている場合は、短期的にステロイド薬の関節内注射を行うことがあります。しかし、漫然と使い続けてしまうと副作用の心配があるため、ヒアルロン酸注射や湿布薬、消炎鎮痛薬の服用で痛みの改善を図ります。
このような薬物療法とともに、膝への偏った負担を軽減するために、荷重軸を外側(もしくは内側)にずらす足底板(そくていばん)の使用や、膝をしっかり支えるために金属支柱付きのサポーターの使用など装具による治療が行われることもあります。

運動をすることで、変形性膝関節症の膝の痛みは改善しますか?

イスに座り、足くびをそらし、膝をゆっくり伸ばします

保存療法で特に大切なのは、運動療法です。太ももの大腿四頭筋をしっかり鍛え、さらに下肢(股関節から足先まで)全体の筋力も鍛えることで、膝の痛みの改善が期待できます。具体的には、仰向けに寝て、片方の足を立て、反対足の膝を伸ばしたまま、立てた膝と同じ高さになるくらいまで上げて、ゆっくりと下ろします。また、イスに座り、足くびをそらし、膝をゆっくり伸ばします。5~10秒伸ばしたまま止めておきます。さらにイスに座った状態で少しだけ腰を浮かし、5~10秒くらいその状態を保ちます。これらの方法だとあまり膝に負担がかからず大腿四頭筋が鍛えられます。
さらに、筋力強化とともに重要なのが、体重コントロールです。医療機関によっては専門家による指導が受けられ、ご自分では「あまり食べていない」と思っていても、食生活を振り返ってみると、実は間食が多い、糖分を多く含んだ炭酸飲料水が好き、といった肥満要素が見えてきます。こうした食生活の見直しに加えて、有酸素運動も取り入れることで体重は落ちていきます。お勧めはウォーキングです。ただし、歩く時には太ももに力を入れて歩くことを意識することで大腿四頭筋が鍛えられます。しかし、膝が痛くて歩くのが辛い場合は、プールの中を歩く水中ウォーキングであれば膝への負担が少なく、大腿四頭筋を鍛えられます。

仰向けに寝て、片方の足を立て、反対足の膝を伸ばしたまま、立てた膝と同じ高さになるくらいまで上げて、ゆっくりと下ろします

この記事の医師がいる
病院の詳細はこちら

ページの先頭へもどる

PageTop