膝の痛みは、専門医に相談しご自身の目的にあわせた治療を選択しませんか

人工膝関節全置換術とは、どのような手術方法なのでしょうか?

ポータブルナビゲーション

人工膝関節全置換術は、傷んでいる膝関節全体の表面を全て取り除き、金属やポリエチレンでできた人工関節に置き換える手術です。末期の変形性膝関節症の方は脚のバランスが大きく崩れた方が多く(多くはO脚変形)、痛みを強く感じる膝関節内側に偏った荷重がかかった状態になっています。全置換術では、膝関節全体の骨を切ることで脚のバランスを整え、膝関節に適切な荷重がかかるように人工関節を設置します。正確にバランスを整えるためには、骨を切る量や角度が非常に大切です。そのため、手術前に3D画面で正確な手術計画を行い、手術中はポータブルナビゲーションなどを使うことで、骨を切る量や角度を1mm、1度単位にこだわり手術を行っています。
正確にバランスの取れた人工関節が設置できれば、痛みの軽減だけでなく、曲げ伸ばしや歩行、階段昇降など膝関節のより良い安定した動きを再現することも期待できます。

単顆置換術とはどのような手術方法なのでしょうか?

単顆置換術（左）と全置換術（右）

単顆置換術は傷んでいる部分が限定されていて、膝関節の動きが保たれ、靭帯がしっかりと機能しているといった場合に適応となる手術方法です。全置換術と比べ、傷んでいる部分だけを取り除き部分的に人工関節に置き換えるので、使用する人工関節が小さく、健常な部分の膝関節を多く残せる侵襲が少ない手術方法です。また、脚全体のバランスが大きく変わらず、前・後十字靭帯も残るため、歩行動作や階段昇降、ちょっとした運動をした時でも、違和感が少なく自分の膝と感じやすい生理的な膝の動きが期待できます。

両膝共に病状が進行している場合、一度に手術できるのでしょうか?

両膝の病状が同じくらい進行している方も多くいらっしゃいます。両膝ともに変形や痛みが強い場合には、患者さんの希望に応じて手術を一度に行うことも可能です。片方ずつ時期を分けて手術を行うこともありますが、手術していない側の膝の変形や動きの制限が強い場合、全体のバランスが悪くなることで歩きにくくなってしまったり、手術した膝の動きの改善が乏しくなってしまったりする可能性があります。また、両膝を一度に手術することができれば、これらのリスクを回避できる他、全体の入院期間の短縮や費用の削減といったメリットもあります。一方、片膝ずつ手術をする場合には、一回の手術時間は短縮できるため、手術時のトラブルや術後合併症のリスクは軽減できます。これらの長所短所を十分にご理解いただいた上で、ご自身に適した方法を選択することが重要です。