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専門医インタビュー

外反母趾は重症化する前に足の外科医に相談を!治療選択肢は広がっています

この記事の専門医

渡辺 淳 先生

東京都

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平成10年東京医科大学医学部卒業
医学博士、NPO Orthotics Society 副理事長 Foot Control Trainer
専門分野:足の外科・骨折治療
資格:日本整形外科学会整形外科専門医、日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医、日本整形外科学会認定リハビリテーション医

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この記事の目次

外反母趾の手術以外の治療方法について教えてください

アーチサポーターの一例

アーチサポーターの一例

まずは足の指のストレッチにより進行の予防を目指します。足の指の間に手の指を入れ、やさしくにぎって伸ばすストレッチを毎日の生活の中で気がついたときに行ってみてください。また、ホーマン体操やタオルギャザー運動も一般的です。ホーマン体操は、足の親指同士に幅広のゴムをかけ、かかとをつけて開くことで親指の力を育てるものです。タオルギャザー運動は、床に広げたタオルを足の指で手繰り寄せるトレーニングで、足の指で地面をしっかりつかめるよう筋力を強化します。
また外反母趾で痛みが軽度な方であれば、中足部を支えるアーチサポーターなどの装具療法やインソールを作成するのも有効です。広くなった足の横幅を装具で締めて足裏のアーチをつくることで、足の指が浮いてしまうのを抑え、地面がつかみやすくなるのが感じられると思います。インソールは歩行状態を確認しながら、身体全体のバランスを整えていくようなオーダーメイドのものが良いでしょう。
これらの取り組みにより本来のアーチを取り戻し、足の形を整えることにより親指の付け根の突出部の痛みや腫れが徐々に収まってくることもあります。

足の指のストレッチとホーマン体操

手術を考えた方が良いのはどういうときですか?

痛みが強くて歩きにくい、靴が履けない、親指と人差し指が重なる、親指以外にも変形が出てきた、などが手術のタイミングだと思います。特に、親指が人差し指の下に潜り込んでいくような変形では、人差し指の脱臼が起きやすいため注意が必要です。外反母趾が進行して周りにある他の指にまで変形が進むと、手術が複雑になっていきます。変形は軽くても強い痛みで生活に支障をきたしている場合も手術を検討された方が良いでしょう。
痛みはあまり気にならないものの、変形のために靴を選べないのがつらい、もっと見た目を改善したいといった理由で手術を希望する人もいらっしゃいます。しかしそうした場合には、手術での感染などのデメリットも含めてより一層納得いただく必要があると思っています。

進行度合いによって、どのような手術方法がありますか?

外反母趾の進行度は、足が扇のように幅広になっていくことと密接に関わっています。出っぱった部分を切るだけという手術をイメージされている方も少なくありませんが、実際の手術は幅広の足を細く調整する手術と説明しています。また外反母趾の形はさまざまで、一人ひとりの状態に合わせて計画し、親指と人差し指の中足骨(ちゅうそくこつ)を近づけ並行になるよう整えていく「足の形をリフォームする手術」です。
一般的には中足骨を切って角度を変え金属でできたプレートなどで固定する骨切り術が選択されます。骨を切る位置は、軽度では遠位(体幹から遠い指先側)、重度では近位(体幹に近い足首側)と進行具合により変わります。
また極端に重度の方では関節固定術が選択されることもあります。関節固定術では、中足骨とその手前側にある楔状骨(けつじょうこつ)の間を、髄内釘(ずいないてい)やプレートなどを用いて固定します。
そして変形が強く人差し指など他の指にも脱臼などを合併された患者さんでは、親指の単独の手術では終わらず、他の指もあわせて手術が必要となります。

骨切り術のイメージ

骨切り術のイメージ

関節固定術のイメージ

関節固定術のイメージ

以前と比べて、手術で進化した点があればご紹介ください

外反母趾の手術はこの10年ほどでさまざまな研究がなされ、著しく進歩しています。以前に比べて外反母趾の再発率も低くなりました。また固定する力が高いプレートや髄内釘なども足の形に合わせた小さなインプラントが開発されたことで手術後早期に歩行ができるようになりました。
手術における痛みのコントロール方法も進化しています。手術は全身麻酔で行いますが、それに加えて術前にエコー(超音波)を使った下肢神経ブロック注射を行います。手術直後の痛みが緩和されることでリハビリがより進めやすくなっています。


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