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専門医インタビュー

通院してもなかなか治らない太もも・腰・膝の痛み 本当は股関節が原因かもしれません!

この記事の専門医

  • 松浦 正典 先生
  • 大阪市立総合医療センター 整形外科担当部長 人工関節センター長
  • 06-6929-1221

大阪府

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日本整形外科学会認定整形外科専門医 日本リウマチ学会認定リウマチ専門医 日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医など

この記事の目次

術後のリハビリから退院までの流れを教えてください。

以前は、術後1週間~2週間は安静にしてもらっていた時期もあったのですが、それでは筋力が落ちるばかりですので、現在では術後3時間以降はベッド上で、自力で動いていただいています。翌日からは車椅子を使用します。可能な人は、歩行器を使ってリハビリ室へ移動してもらいます。早いケースでは約1週間で杖歩行を、約2週間で階段昇降を訓練することができます。一本杖で階段昇降がスムーズにできるようになるのが、退院の目安です。当院は総合病院で高齢者や合併症を持った人が多いため、入院期間の平均は、片側のみの場合で3週間~4週間、両側で4週間~5週間です。若い人では、片側で3週間を切ることもあります。リハビリは動かない時間を極力少なくすることで筋力低下を防ぎ、できる限り入院期間を短縮することを目標にしています。

人工関節を長持ちさせるポイントはありますか?

エアロバイク写真

自転車は転倒の危険もあるので、
エアロバイクを使用するのがい
いでしょう

筋力トレーニングは人工関節を長持ちさせるための大きなポイントですから、水中歩行や自転車漕ぎは、術後も積極的にやっていただきたいですね。ゴルフやゲートボール、水泳は問題ありませんが、ジャンプや全力疾走をするようなスポーツは避けましょう。10㎏、20㎏といった重い荷物を運ぶような作業も避けてください。ただし、手術を受ける動機として、「今後も継続して仕事をしたいから」という人も多くいらっしゃるのも事実です。実際、農作業やラーメン屋さんの店主に復帰した人もいます。そういったケースでは、脱臼や人工関節の緩みによる再置換術の可能性をよく説明した上で、人工関節の状態を注意深く見守っていくことが必要になります。最近は再置換術の成績も良くなっているので、適切な時期を選べば、安全に行うことができます。しかし、そのためには定期的なチェックが欠かせません。具体的には、術後1カ月、3カ月、6カ月、1年後に来院いただき、その後は半年から1年ごとのペースで受診をお願いしています。定期的に検査を受け再置換が必要になった場合には、タイミングを逃さないようにしましょう。

手術を迷っている方にアドバイスをお願いします。

変形性股関節症と診断されたからといって、必ず手術を受けなければならないということはありません。むしろ大切なのは、「自分が今後、どういう人生を送りたいのか」ということを真剣に考えることだと思います。変形は強いが動かなければ痛まないという人であれば、「今後はあまり動かないようにするから手術はしない」というのも一つの選択肢でしょう。しかし、「まだまだ活発に、いきいきとした人生を楽しみたい」と考えるのであれば、人工股関節置換術は大変有効な手段です。全身状態さえ問題がなければ、手術に年齢制限はありません。実際に、「ゴルフでコースが回れた、遠方に旅行に行けた、脚の長さが揃って30年前と同じように歩けるようになった」という喜びの声も多く寄せられています。人工股関節置換術は、日本国内で年間5 万例以上も行われている手術で、整形外科では一般的な治療法として定着してきました。インターネットなどで手術の情報を得るのも、不安を取り除くには良い方法だと思いますが、その上で股関節の専門医を訪ねれば、より深く理解・納得した上で治療を受けることができるでしょう。


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