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専門医インタビュー

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この記事の目次

40代後半~50代で徐々に出てくる股関節の痛み。股関節は深部にあるため、痛みを感じている場所が分かりづらく、太ももや腰、膝の痛みとして訴えていることもあります。そのような場合、実際の痛みの原因と痛みを感じている場所が異なっているため、股関節の治療にまで到達することができずに、変形が進んで行ってしまうケースも少なくありません。「一番大切なことは、今後、自分がどういう人生を送りたいのかを真剣に考えることです」とアドバイスするのは、大阪市立総合医療センターの松浦正典先生。受診のきっかけや前方アプローチで安全なMIS両側同時手術、術後から退院までの流れなどについて、お話を伺いました。

股関節の痛みや違和感で悩んでいる人が多いと聞きます。

変形性股関節症のX線

股関節の痛みや違和感の原因としては、「大腿骨頭壊死症」や近年高齢者に増加している「急速破壊型股関節症」などがありますが、やはり一番多いのは「変形性股関節症」です。欧米では関節の形態に異常がなく、過体重による経年的負担で徐々に軟骨がすり減って発症する「一次性の」変形性股関節症が大半ですが、日本人の場合は「先天性股関節脱臼」や「臼蓋(寛骨臼)形成不全」といった、もともと股関節の形態に問題があることで発症する「二次性の」変形性股関節症が約90%を占めています。女性に多い疾患で、歳とともに股関節の軟骨がすり減っていき、骨が変形することで痛みが生じたり関節が動きにくくなったりします。発症していても若い頃に自覚することは少なく、40代後半~50代で徐々に痛みや違和感が出てくるケースが多いようです。

何がきっかけで受診することが多いのでしょうか?

やはり痛みの訴えです。ただし、股関節は深部にある関節なので、痛みを感じている場所が分かりづらく、股関節周囲の太ももや膝、腰の痛みとして訴える人が少なくありません。実際の痛みの原因である場所と痛みを感じている場所が異なっているため、中には股関節の治療にまで到達することができず、その間に変形が進んで行ってしまうケースもあります。変形性股関節症は、早期に発見・治療できれば運動療法や理学療法で進行を遅らせることが可能です。通院しているのに太ももや腰、膝の痛みがなかなか取れない場合は、取りあえず整形外科を受診し、レントゲンを撮ってもらうことをお勧めします。そこで異常が確認されたら、股関節の専門医を紹介してもらうとよいでしょう。

変形性股関節症の具体的な治療法を教えてください。

股関節周囲の筋力を鍛える脚の外転運動。
横になって、片脚ずつ約5秒上げてから下します

初期であれば、運動療法が中心になります。股関節周囲の筋力トレーニング、特に脚を外向けに開く外転運動は重要です。筋力をつけると股関節にかかる負担が軽減するため、関節の変形を遅らせることが可能になり、痛みもある程度コントロールすることができるでしょう。中でも水中歩行や自転車漕ぎは、股関節への負担も少なく大変効果的です。実際に自転車に乗ると転倒の危険もあるので、スタンドを立てたまま漕いだり、エアロバイクを利用したりするのがいいでしょう。痛みが強いときには、痛み止めの内服薬や外用薬を併用します。痛みが取れないと運動療法ができませんから、当院ではヒアルロン酸やステロイド剤を必要に応じて関節内に注射することもあります。変形が進んでいて、運動や薬といった保存療法だけで対応できなくなってしまった場合は、やはり手術が選択肢に入ってきます。50歳未満でそれほど変形が強くなければ、骨盤や大腿骨の骨を切って股関節を矯正・修正する「骨切り術」が、変形も痛みも強い人には、悪くなった骨を取り除き人工関節に置き換える「人工股関節置換術」が適応になります。


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