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専門医インタビュー

手術支援ロボット等による、より正確で低侵襲な手術 変形性膝関節症の治療は、格段に進歩しています

この記事の専門医

椎木 栄一 先生

山口県

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資格:日本整形外科学会整形外科専門医、日本リウマチ財団登録医

この記事の目次

人工膝関節置換術後のリハビリについて教えてください

杖をついてリハビリ

手術後の痛みを抑える方法は、以前に比べてかなり進歩していると思います。手術中にステロイド薬などを投与して炎症を抑えたり手術後も様々な鎮痛薬を使ったり、麻酔科の先生による神経ブロックなどの疼痛管理を実施したりしている施設も多いと思います。術後の痛みがかなり改善されているために、手術の翌日から体重をかけてリハビリを行うことができるようになっています。
一般的には手術の翌日からリハビリを開始する施設が多いと思います。最初は体重をかけて立ち上がり、次に歩く膝を曲げ伸ばしする訓練や階段昇降などをして、杖をついてでもしっかり歩けるようになったら退院という流れが多いと思います。手術後のリハビリについては、手術前の筋力がどの程度あったかでかなり違いが出ます。もともと筋力があった場合は、退院時には杖なしで階段の昇り降りもできてしまうほど回復される方もおられます。一方、手術前に筋力がかなり落ちてしまっていると退院時は杖が必要になったり、あるいはリハビリ病院などに転院してじっくりリハビリを続けてからご自宅に戻られる方も少なくありません。

人工関節を長持ちさせるために、どんなことに注意が必要ですか?

体重をコントロールする

近年の人工関節は20年~30年持つともいわれており、そう考えると60代後半で手術を受けた方は一生持つことが期待されます。ただし、太りすぎてしまうと人工関節に過剰な負担がかかり耐久性に影響が出るので、体重をコントロールされたほうがいいと思います。また、感染症にも注意が必要です。虫歯や歯周病、尿路感染症などが原因となり感染症を引き起こすと入れ替えの手術が必要になることがあります。特に、糖尿病や腎臓病などの持病を抱えている方は感染症のリスクが高くなるので、手術前だけでなく手術後も継続的な治療と注意が必要です。
身体がぶつかり合う激しいスポーツやジャンプを伴う運動は控えていただきたいですが、ゴルフやウォーキング、自転車、水泳といったスポーツや運動は膝関節に過度な負担がかからずお勧めできるので、それほど神経質にならずにご自身がやりたいことをどんどん行ってほしいと思います。

膝の痛みに悩んでいる方へメッセージをお願いいたします

膝の痛みを歳のせいにするなど、ご自分で判断してしまうのは良くありません。客観的に正確に診断してもらうために、お近くの整形外科医にご相談ください。受診してもその助言に納得できないようであれば、セカンドオピニオンも利用してご自身が納得されてから治療を開始したほうが良いと思います。人工関節の手術方法は進歩していますが、あまり先延ばしにすると合併症のリスクが高くなったり、リハビリに時間がかかったりとご自身が期待しているほどの満足度を得られないことがあります。
進行していく病気に対して我慢を重ねるよりも、限界を感じたら手術も治療の選択肢の一つとして考えてみてください。手術支援ロボット等を含めて整形外科の治療も進歩しています。我慢を重ねてこれからの人生を棒に振ることがないよう、しっかりご自身の人生を考えてみることも大切だと思います。


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