 
        ケア用品一にも二にも、体重管理?
ひざや股関節に痛みを感じて整形外科を訪れると、「まずは体重を減らしましょう」と医師から助言されることがあります。しかし、「こんなに痛いから病院に来たのに」とがっかりする必要はありません。肥満はひざ関節にも股関節にも余計な負担をかけ、骨や軟骨の劣化を加速させる大きな要因となるからです。
また、関節の痛みや変形の度合いが著しく、人工関節置換術に至った場合も事情は変わりません。手術によって取り替えた新しい関節を長く、快適に使い続けるには、やはり体重管理が欠かせないのです。人工関節置換術を受けた後に医師や理学療法士から「適正体重を意識しましょう」と繰り返しアドバイスを受けるのは、そのためです。
"ただ測る"から、その先へ
体重管理の第一歩は、まずご自身の現状を知ることです。最近では、家庭でも簡単に体脂肪率や筋肉率を測定できる体重体組成計(体組成計)が広く普及するようになりました。単に「何キロあるか」だけでなく、「その内訳はどうか」と、一歩進んだ情報を簡単に把握できることから、健康意識を高めてくれる効果もありそうです。
こうした体組成計を使って、日々の変化を記録している方も少なくないでしょう。とはいえ、人工関節を入れた後も使い続けていいのか、疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。
体組成計は使ってもいい?
体組成計の仕組みは、体内にごく微弱な電流を流し、その電気抵抗の違いから脂肪や筋肉の割合を推定するというもの。一方、人工関節の多くは金属製です。そこで、「人工関節置換術を受けた後でも体組成計を使って大丈夫?」と疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。
しかしご安心を。人工関節は、ペースメーカーのような医用電気機器ではありません。したがって、体組成計の使用によって健康を害するリスクはありません。ただし、測定値については注意が必要です。金属は脂肪や筋肉と比べて電流の通りやすさが異なるため、体脂肪率や筋肉率の数値は"目安"として捉えましょう。体組成計の取扱説明書にも「参考値である」と記載されている機種が多いため、一読しておくと安心です。
※補足:ペースメーカーなどの医用電気機器を装着している方は、誤作動のリスクがあるため体組成計の使用は厳禁です。
体重管理から健康管理を
体組成計を使い、あくまでも参考値としてご自身の体脂肪率や筋肉率の変化を記録する上で大切なことは測定の条件を揃えることです。つまり、なるべく同じ時間・同じ状態で測定するようにしましょう。これは通常の体重計を使用する上でも同じことです。
「少し体が重くなってきたかな」と感じたら、筋肉量はなるべく落とさず、脂肪を穏やかに減らす"質の良い減量"を意識してみてください。数字に一喜一憂するのではなく、からだの声に耳を傾けながら、長く無理のない健康管理を続けること。それが、関節にも人生にも、やさしい選択です。

