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専門医インタビュー

人工関節置換術で元気に歩ける幸せを

この記事の専門医

鈴木 誠也 先生

東京都

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日本整形外科学会専門医

この記事の目次

先生が手術なさった患者さんで、一番ご高齢の方は?

89歳です。今、92歳の方で手術を希望している方がいらっしゃいますが、貧血があって、心臓、腎臓ともに状態があまり思わしくない。これだけ合併症が山積みだと、「手術を受けたい」「はい、やりましょう」というわけにはいきません。年齢よりも合併症のほうが問題で、今、手術をしていいかどうか検査中です。
今は、心臓発作や脳卒中で倒れてもかなりの方が回復します。そうなると、それ以前にはあまり問題にならなかった膝の寿命、関節の寿命がクローズアップされてきます。そういうことで、以前よりも高齢者の人工膝関節置換術の需要がだんだん増えてきているのだと思います。
ただ、80歳を過ぎると体力はがくんと落ちます。80歳を過ぎてからの手術はやはり本人も辛いし、いろいろな合併症を起こしやすくもなります。できれば60歳を過ぎて膝の具合が悪そうな人は、インプラントの寿命と、余命を考慮して手術することを視野に入れてくれたほうがいいのですが…。現実は60歳を過ぎても、痛い痛いというわりにはけっこう激しいことも我慢してやってしまう。そして元気がなくなったら、はじめて手術を考えるというのが実態ですね。

インプラントの寿命はどれくらいでしょうか?

患者さんの活動性などにも左右されますが、大事に使えば、おおむね10~30年は機能するようになってきています。
術後3カ月、6カ月、1年、その後は年に1回、定期的に経過をチェックすることになります。術後しばらくすると、安心されるのか、足が遠のく患者さんもいらっしゃいますが、インプラントとより長く付き合うためには定期的なチェックは非常に重要です。

手術後の経過について教えてください。

一番心がけていただきたいのは減量です。インプラント自体は、何キロ以上の方が使うと壊れるという体重制限はありません。ただ、外国に比べて、日本の場合、比較的長持ちしているのは、極端なオーバーウエイトの人が少ないからだと思われます。
ほかには、あまり激しい運動はしないこと。一応、ジョギング、ゴルフ、エアロバイク、ゲートボール、ボーリング程度はいいということになっています。人工関節は、あくまで「人工の」関節ですから、痛みが取れたからといって、激しい衝撃を加えるような乱暴な動きをすると、インプラントのゆるみの原因となります。

患者さんの言葉でうれしかったひとことは?

ゴルフをやりたくて手術した男性患者さんから、「1日2ラウンド、しっかり歩いて勝負してきたよ。ありがとう」とか、洋裁店や焼鳥屋さんなどの立ち仕事で膝を酷使してきた方から、「膝が痛くて思うように仕事ができなかったけど、また、ちゃんとできるようになってうれしい」と、言われたことです。

最後にひと言、患者さんへ励ましのメッセージを。

手術は痛いですし、リハビリも辛いですが、その辛さを乗り越えれば、痛みも軽くなり、自分でできることの範囲も広がります。今は麻酔などの技術も進んでおり、80歳を超える高齢でも手術ができないわけではないのですが、リハビリなどもけっこうしんどいし、合併症のリスクなども高くなるので、できれば比較的元気な70歳代くらいには決断していただけるといいですね。


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