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専門医インタビュー

あきらめないで股関節の痛み、今すぐ関節の専門医に相談を

高澤 誠 先生
  • 高澤 誠 先生
  • 柏厚生総合病院 整形外科部長 人工関節センター代表
  • 04-7145-1111

千葉県

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千葉大学大学院医学研究院修了後、フランスに留学。平成30年より現職
資格:医学博士、日本整形外科学会専門医
専門分野:股関節外科

この記事の目次

足の付け根が痛くて、動くのがつらい…。買い物にも行けない、でも年のせいだから仕方がないと、あきらめていませんか。関節の変形はそのままにしておくと必ず進行します。痛みの原因を正しく知って、適切な対応策を取るために、関節の専門医・高澤 誠先生に伺いました。

臼蓋不全及び骨質の低下

中高年の女性にみられる股関節(足の付け根)の痛みの原因で多いのが、変形性股関節症。日本人の変形性股関節症の7~8割は、生まれつき股関節の屋根に当たる部分のかぶりが浅い臼蓋形成不全によるものです。

変形性股関節症のレントゲン

変形性股関節症のレントゲン

股関節の一部分だけに体重がかかるために軟骨がすり減って、加齢とともに徐々に関節が変形してきます。これが変形性股関節症です。また、臼蓋形成不全がなくても、女性の場合は閉経後に骨が弱ってきたところに、体重増加によって股関節に負担がかかり症状が出てくるケースがあります。発症のポイントは閉経後、骨の質が弱くなってくる時期です。

最近注目されているのが、股関節唇損傷。股関節唇とは、骨盤側の臼蓋を縁取りしている軟骨のことです。損傷を受けると痛みもありますが、股関節が引っかかる感じがすると訴えられる人もいます。しかし、レントゲンでは軟骨の損傷確認出来ないので、CT MRIなどで診断する必要があります。ほかにも、関節リウマチや大腿骨頭壊死などでも股関節の痛みを生じます。

変形性股関節症の治療法を教えてください

治療法の選択
両脚の人工股関節置換後のレントゲン

両脚の人工股関節置換後のレントゲン

整形外科では問診や触診に加え、レントゲン写真を撮って痛みの原因を探ります。特にレントゲンは大事な情報になります。股関節専門医は腰や、足全体のレントゲン写真から関節の状態や変形の段階などを判断しています。動き始めに多少の痛みはあるものの、関節の変形はまだ進んでいない初期の段階なら、痛み止め薬の服用、関節を守る筋肉の強化・リハビリなどの保存療法が有効です。股関節に負担をかけないような動きを工夫すること、痛くない程度に体を動かし、体重をコントロールすることも大事な治療法です。ただし、医師による診断に基づいた指導のもとで行うことが大切です。無理なストレッチや自己流の体操で、かえって痛みを増すことにもなりかねません。

股関節の変形が始まってくると、リハビリだけでは治まらなくなります。痛みのために、友人との旅行や買い物にも行きづらく、趣味のゴルフもだんだん遠のき、外出をしない引きこもり状態になっている人も見られます。進行期から末期の方には、手術療法を勧めています。この段階になると、関節の変形は止まりません。悪くなるいっぽうで決して改善しません。痛みが強く、歩くのも困難になってしまうかもしれません。そうなる前に、人工股関節置換術をしてはいかがですかと提案することもあります。

手術のタイミングは人それぞれ

高澤 誠 先生

手術をすることは、やはり怖いことだと思います。最近はインターネットなど様々な手段や機会を通じ、股関節痛や人工股関節置換術に関する情報、その手術を受けた人の体験談などを入手することが可能になっています。

しかしながら、専門医の診断なしには自分の状態は決してわかりません。そのため患者さん一人ひとりが不安に感じられていることや、疑問に思っていることについて、しっかりと時間をかけ、分かりやすく説明することが大事だと考えています。とはいえ手術は、ご自身の意思で受ける、痛みを取るための治療です。まだまだ自分の足で歩いて趣味や買い物をしたい、旅行にも行きたい、動けなくて周りの人に迷惑をかけたくないなど、手術を決めるタイミングは千差万別です。まずは、専門医を受診し相談してみましょう。


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