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専門医インタビュー

変形性股関節症、専門医と共に早期社会復帰できる喜びを分かち合おう

竹下 宗徳 先生
  • 竹下 宗徳 先生
  • 聖隷横浜病院 整形外科・関節外科部長・人工関節センター長
  • 045-715-3111

神奈川県

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千葉大学大学院医学研究院終了後、君津中央病院医長を経て平成 28 年より現職
資格: 医学博士、日本整形外科学会専門医
専門分野: 股関節外科・膝関節外科・骨盤外傷他

この記事の目次

痛みのせいで仕事を止めなくてはいけない、家族の世話ができないと辛い思いをしている人たちに「あきらめないで専門医の話を聞いてほしい」と話す、聖隷横浜病院の竹下宗徳先生。人工股関節置換術の最新情報を教えてもらいます。

変形性股関節症の原因は? 過体重も関係?

骨臼形成不全の股関節

骨臼形成不全の股関節

変形性股関節症になりやすいのは、生まれつき股関節の天井に当たる部分が小さい「寛骨臼形成不全」のある方。日本では女性に多くみられます。過体重が原因で股関節が悪くなる外国の人たちに比べて、日本では痩せていても、もともとの股関節の形によって発症しやすいというわけです。
股関節の変形だけでなく、股関節の不具合に体重は大いに関係します。一般的に体重が1キロ増えるとその5倍、股関節への負担が増えるといわれています。逆にいえば、1キロ痩せればその数倍、関節の負担を減らすことができます。
最初に股関節の異変を感じたきっかけとして、台所での立ち仕事が長時間できなくなったというケースを多く聞きます。しかしその違和感や痛みが、股関節からくるものだということにはなかなか目を向けてもらえず、腰が悪いとか、坐骨神経痛だと思われることもよくあるようです。お尻が痛い、足の外側が痛いなど、痛い部分はいろいろ、それがこの病気の難しいところです。

治療方法にはどのようなものがありますか?

股関節の痛みをかばうために、歩いたり運動するのを控えるのはかえって逆効果。何もしないでいると筋力が落ち、変形が進むと関節周囲の拘縮が更に進み、ますます関節の動きが悪くなってしまいます。
最近は、痛みの機序に働きかける新しい痛み止めの内服薬や外用剤が登場していますから、それらを上手に使ってまず痛みを軽くします。そのうえで、体重コントロールと筋力強化を心がけてもらいます。手術するしないにかかわらず、お尻の筋肉と太ももの筋肉が弱くならないように筋力トレーニングを行ってもらっています。筋力トレーニングといっても特別なものではなく、横になった状態で足を上げ、足を上げた状態でふとももの筋肉に力を加えるといった、まずは簡単な方法から行って頂いています。
変形性股関節症と診断されたからすぐ手術というわけではありません。股関節の治療には様々な方法があります。専門医を受診し、痛みの原因や、どんな治療をするのがいいかなどをじっくり相談するのが重要だと思います。
まずは、専門医を受診しましょう。

人工股関節にする適切な時期は?

人工膝関節置換後のレントゲン(正面と側面)

人工膝関節置換後のレントゲン
(正面と側面)

筋力トレーニングなどの保存的療法をいろいろやってきたけれど、痛みが取れない、明らかに仕事や日常生活を送るのに支障が出てきた。このように股関節の痛みのために、これからの人生で何かを我慢しなくてはならなくなった時が手術を考える一つの目安になると思います。
また、最近は元気な高齢者がたくさんいます。元気だからこそ、股関節の痛みがあるために家に閉じこもってしまいたくないからと、手術を決心する人も多くいます。
ただし手術を希望される場合、関節の変形はある程度進んでいても、筋力のあるうちに手術を受けることを勧めます。手術には骨切り術と人工股関節置換術という方法があり、骨切り術は20〜30代の若い方で行うことが多いのですが、その方の年齢や活動性などにより、将来、人工関節置換術を行うこともあります。人工股関節置換術は、以前60歳まで手術を受けるのを我慢しましょうと言われてきました。しかし最近は人工関節の性能が飛躍的に向上した結果、人工関節の耐用年数が長くなり、また整形外科で行う手術の中でも早期に社会復帰できる手術と考えているので、40代、50代の方も人工関節の手術を希望されています。
股関節の状態が悪い方は、ひざも悪くなっている方が多くいらっしゃいます。私は、ひざ人工関節の手術も行っていますので、股関節、ひざ両方の状況を確認しながら、治療にあたるようにしています。


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