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専門医インタビュー

手術をした日が第2の誕生日 スムーズな動きを作り出すスタート地点

小林 貴幸 先生

長野県

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出身大学 卒業年:自治医科大学 平成16年卒
専門領域:関節外科・リハビリテーション
資格・所属学会:日本整形外科学会 整形外科専門医、日本整形外科学会認定スポーツ医・リウマチ医・運動器リハビリテーション医、日本人工関節学会、日本リハビリテーション医学会

この記事の目次

高齢社会の今、膝や股関節の痛みを訴える人が増えています。だれでも歳を取れば、身体のあちこちに不具合を生じるものですが、動くと痛いから、あきらめて外出しないで引きこもるか、それとも、いろいろな工夫と努力でもっと自分らしく楽しく活動していくか、選ぶのはあなた自身。まずは正確な情報と知識を得るために、専門医の話を聞きませんか。

加齢、肥満、筋力不足

正常  寛骨臼形成不全

   正常   寛骨臼形成不全

変形性股関節症の原因は少し特殊です。日本の女性には生まれつき、骨盤と大腿骨の形のバランスが悪い(股関節の屋根の部分が浅い状態)寛骨臼形成不全の人が多く、そのアンバランスのために股関節の変形が進んで、痛みが出てきます。必ずしも高齢になってから発症するとは限りません。
また、近年、明らかな構造的異常がないにもかかわらず、急に股関節が壊れて痛みが出現する、高齢者に起こる原因不明の疾患、急速関節破壊が注目されています。数カ月の経過で症状は悪化し、じっとしていても痛い、動くとなお痛いので歩けないなど、日常生活に非常に制限が生じます。
膝痛、股関節痛を引き起こす原因の一つが、加齢ですが、外傷や股関節や膝によけいに負担がかかるような生活環境など、さまざまな要素が絡み合って、痛みと関節変形が生じます。
見逃せないのは、肥満です。体重が重ければ重いほど、支える関節に負担がかかり、壊れる原因にもなります。特に膝の場合は、体重が少し減るだけでも、そこに筋力が付けば、痛みが軽くなることがあります。

対応策を教えて下さい

適度な運動をして筋力をつけましょう

適度な運動をして筋力をつけましょう

一人で悩んでいないで、まず専門家の話を聞くことが大事です。特に、高齢の方の場合は、病院に来ること自体がリハビリになります。
まずは痛みを軽くする、これが治療の基本です。痛み止めの服用、膝の場合はヒアルロン酸の注射も使われていますが、残念ながら痛んだ関節を治す薬は今のところなく、あくまでも対症療法です。
初期の段階なら、筋力が衰えないように適度な運動を行うことが大事です。筋力をつけ、減量できれば痛みが楽になり、たとえ手術になるとしても先延ばしにできることもあります。

手術を考えるタイミングはあるのですか?

変形性膝関節症と変形性股関節症のレントゲン1 変形性膝関節症と変形性股関節症のレントゲン2

変形性膝関節症と変形性股関節症のレントゲン

さまざまな治療をしたけれど痛みが改善せずに、動くのがつらい、もう限度だという状態は、手術を考える目安になります。
痛みが強く、非常に動きが悪くなる変形性股関節症は、保存療法で生涯何とか付き合っていこうというのは難しいと思います。活動的な年齢の時に痛みが出ることが多いし、股関節の変形のバリエーションは広く、単純ではないので、患者さんの苦労は並大抵ではないと思います。
変形性膝関節症の場合、レントゲンで見る関節の変形の程度と痛みとが、必ずしも相関しないのが、この病気の特徴。見ためにはひどいO脚で、レントゲンで見るとごっそり骨が削れているようでも、それほど痛みを感じていない人もいれば、逆に、ほんの少し関節が削れている程度でも、激痛でつらいという人もいます。
あくまでも、手術を決めるのは患者さんです。安易に手術を行う必要はありません。しかしあまりにも関節の変形が進んでしまう前に手術をしたほうがいいのではないかと思います。


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