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専門医インタビュー

変形性股関節症は手術で治せる疾患です 10年・20年先の人生を考えて治療に向き合おう!

大阪府

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日本整形外科学会認定整形外科専門医、日本整形外科学会認定リウマチ医、
日本リウマチ学会認定リウマチ専門医

この記事の目次

初期の段階では一時的な痛みで治まることも多い「変形性股関節症」。初期の段階では保存療法で対処することもできますが、症状が悪化しているケースや今後の進行が早いと予測されるケースには、適切なタイミングを逃さずに手術療法を考えることが重要です。「むやみに手術を怖がり先延ばしにすると、他の治せない病気を作ってしまうこともありますよ」と注意するのは若草第一病院の原口圭司先生。患者さん自身が正しい情報を得ることの大切さや綿密な術前計画、早期リハビリ開始の重要性などについてお話を伺いました。

QOL(生活の質)が低下する大きな原因「変形性股関節症」とはどんな病気ですか?

変形性股関節症のX線

股関節の軟骨が変性・摩耗することで関節の動きが悪くなり、痛みを感じたり歩行をはじめとした様々な日常生活動作が困難になったりする疾患です。病気というよりも、関節の変形から起きる障害といった方がいいかもしれません。変形性股関節症の場合、「臼蓋形成不全症」や「先天性股関節脱臼」といった股関節形状の異常がもともとあり、それらが原因となって加齢と共に徐々に発症していくというケースが多いようです。50代での発症が一番多くみられますが、変形の度合いが強ければ30代から症状が出てくる人もいます。なお、近年の傾向として、特に股関節に異常などはみられず元気に過ごしていた人が、70代、80代になって急に痛みを発症するケースが増えています。生活習慣の欧米化や、脆弱性骨折や加齢による姿勢の変化などが関与しているのではないかと考えられています。

具体的な治療法を教えてください。

変形の程度が軽い初期の段階では一時的な痛みで治まることも多いので、鎮痛剤などの薬物投与、減量や体重コントロール、水中ウォーキングなど筋肉(中臀筋)をつける運動、日常生活の活動量を制限するといった、保存療法や生活指導で様子をみます。仕事環境が長時間立位であったり、休みが非常に少なかったりといったケースには、部署変更や職種変更の検討をお話しする場合もあります。しかし、レントゲンやMRIによる画像診断で股関節の状態が非常に悪いと判断されたケース、今後の進行が早いと予測されるケース、痛みで日常生活に既に支障が出ているケースなどでは、適切なタイミングを逃さずに手術療法を検討することも重要です。なお、治療を受けることを決めてなくても、股関節に痛みや違和感がある人、変形性股関節症などの関節疾患で悩みがある人は、遠慮なく専門医に相談してください。専門医とよく相談した上で、治療法を決めるのは患者さん自身です。当院では、患者さん一人ひとりの家庭環境や仕事内容、年齢などを詳しく伺った上で、各人に適した治療法をアドバイスしています。

状態が悪い・進行が早いケースには、どのような手術を行うのでしょうか?

全症例に対し三次元の術前計画を立て、術後の動作を念入りにシミュレーションします

ナビゲーションにより、1mm・1度単位で正確な手術が可能になっています

軟骨の変性・摩耗が少ない段階では、骨を切って関節の向きを矯正する「骨切り術」で症状が改善することもありますが、症状が進行・悪化しているケースでは、傷んだ関節を取り除き人工関節に置き換える「人工股関節置換術」が適応になります。手術にあたっては、まずは全身状態に問題がないかをチェックします。当院は専門内科が充実しているので、心臓疾患や腎不全、糖尿病などの合併症がある患者さんでも、ほとんどの場合、安全に手術できるように術前コンディションを整えることができます。全身状態がクリアできれば、各種レントゲンやCTを撮り、患者さん個々人の大腿骨や骨盤の形状、可動域などを加味した上で術前計画を立てます。
術前計画では、3Dテンプレートソフトを使用して、患者さんにあった人工股関節のサイズ、機種、脚の長さとオフセットの調整、正確な設置位置などを詳細にシミュレーションします。事前に綿密な計画を立てることで術中の合併症予防や術後の脱臼リスク低減につながりますし、術中には正確な判断が迅速にできるので手術時間の短縮にも繋がります。なお、人工股関節置換術の施術の際には、ナビゲーションシステムを併用しています。ナビゲーションを使用することで、術前計画通りの手術が正確に再現性高く行えるようになりました。術前のシミュレーションと組み合わせることで、和式の生活動作も許可できるようになっています。


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