歩行補助やファッション、あるいは権威の象徴として人々が古くから利用してきた杖。
日本では杖が持つ歩行補助の機能に注目する傾向が強く、高齢化社会に伴って、その需要は高まりつつあります。
杖の歩行補助機能は大きく分けて、“転倒防止”と“足への負担軽減”の2つ。
たとえば私たちがよく目にするT字杖やL字杖など、シンプルな杖であっても、その優れた機能は変わりません。
ここに、杖の重要性を示す、内閣府の調査結果があります。※1
政府は平成17年に60歳以上の高齢者に対し転倒に関する調査を行い、次のような結果をまとめました。
<この1年間に転んだことがある>
| 自宅内 10.6% | 男性 7.2% | 女性 13.4% |
| ・ 女性の転倒率は男性の約2倍 ・ 85歳以上では全体の転倒率は25.3%に |
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| 屋外 11.8% | 男性 10.5% | 女性 12.8% |
このように、高齢者の場合、1年間で1割以上の方が転倒を経験されていることがわかります。自宅内の場合は、年齢が上がるほど転倒のリスクは高まります。
また、自宅内で転倒した場合、約6割の方が怪我を負われ、その内の約3割の方が、その後の日常生活に影響が生じたと答えています。
<日常生活への影響例>
・「買い物や仕事などで長時間出歩いたりすることができなくなった」 13.1%
・ 「自宅内での移動に支障が出るようになった」 10.7%
・ 「炊事・洗濯などの家事に支障が出るようになった」 9.0%
・ 「スポーツや運動ができなくなった」 8.2%
QOL(クオリティオブライフ、生活の質)向上が重視されるようになり、今後ますます高齢者の外出機会は増えるでしょう。同時に、思わぬ転倒のリスクも高まる可能性があります。シルバー世代の方々が健康でいきいきとした暮らしを送るために、杖は“転ばぬ先の杖”として、室内外を問わず、欠かせないアイテムといえるかもしれません。
杖の機能は転倒防止にとどまらず、関節や骨にかかる負担を減らしてくれる大切な役割も持っています。
特に股関節に対しては大変有効で、杖を使った場合と使わなかった場合とを比較すると、股関節への負担(股関節合力)は実に1/2以下になることがわかっています。※2
通常、歩行時には股関節に対して最大で体重の3倍もの重さがかかるといいますから、これは関節を痛めている方にとって、とても大きな負担になるでしょう。
コンピュータを用いた人間の動作解析では、杖を使って歩行することで、この負担が半減することがわかっています。※3
関節の痛みでお悩みの方は、外出のお供に杖を取り入れては如何でしょうか?
『あなたの歩行をサポート』企画にご賛同いただいた百貨店様ご協力の下、
杖を扱っている実際の売り場レポートも行いました。
出典
※1 内閣府 平成17年度「高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査結果」
※2 "KINESIOLOGY The Mechanics & Pathomechanics of human Movement "Carol A.Oatis
※3 "筋骨格コンピュータモデルと三次元剛体バネモデルによる股関節の解析"
元田英一 鈴木康雄 金井章